新国立競技場の問題に森喜朗氏「五輪やりたいと言ったのは東京都」支出求める

建設計画をめぐって混乱が続いている新国立競技場の問題で、2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、東京都が費用を支出するのは当然、との考え方を示した。6月3日に内外情勢調査会が開いたイベントに登壇し、語った。
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建設計画をめぐって混乱が続いている新国立競技場の問題で、2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、東京都が費用を支出するのは当然、との考え方を示した。6月3日に内外情勢調査会が開いたイベントに登壇し、語った

新国立競技場の費用を巡っては、下村博文文科相が東京都に580億円の支出を要請。舛添要一東京都知事は「説明不足」などとして断っており、国と東京都の溝が深まっていた。この状況をオリンピック組織員会の会長で、自民党の有力者でもある森喜朗氏が間をとりなした形だ。

「東京都が(オリンピックを)やりたいといったんでしょ。東京都が場所を全部用意するのは当たり前のことなんです。知事が『俺は知らん』と言うのはおかしな話なんです」と森氏は語り、東京都も支出すべきとの考え方を示した。また、落選した2016年オリンピックの招致活動の際、石原慎太郎元都知事と競技場について、国と都で折半すると約束していたことも明かしている

ザハ・ハディド氏の当初の案

新国立競技場のデザインたち

新国立競技場は当初、2012年にコンペで選ばれたイギリスの建築家、ザハ・ハディドさんがデザインした案で建設される予定だった。この案では天候にかかわらず使用できる開閉式屋根と、約8万人を収容できるスタンドを備えていたが、設計通りに作ると、当初の予算の1300億円を大幅に超える、3000億円まで工費が膨らむことが判明した。

日本スポーツ振興センター(JSC)はハディドさんの原案のまま建設することを諦め、原案のテイストを残しつつ、大幅に規模を縮小し、総工費1692億円の修正案で建設することを決めた。

しかし、資材の値上がりで総工費がさらに上回る可能性が高く、工期も2019年のラグビー・ワールドカップに間に合わないことから、整備費の減額や工期短縮を図るために、さらに建設プランを変更することになった。下村文科相は5月18日の舛添知事との会談で、新国立競技場の屋根の建設はオリンピック終了後となる見通しを示した。また、当初計画していた8万人収容の一部を仮設スタンドとし、オリンピック後に5万人規模へ縮小されるという。

下村文科相は舛添知事に、周辺整備にかかる費用500億円の負担を要請。これに対し、舛添知事は「説明不足」などを理由とし、文科省担当者の説明を断わっていた。

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