中国「一人っ子政策」撤廃でアメリカへの政治亡命は減少?

中国が29日、「一人っ子政策」の撤廃を決めたことで、米国への政治亡命が認められる中国移民の数が減る可能性があると、法律専門家は見ている。
Reuters

[ニューヨーク 29日 ロイター] - 中国が29日、「一人っ子政策」の撤廃を決めたことで、米国への政治亡命が認められる中国移民の数が減る可能性があると、法律専門家は見ている。

ここ数年、米国への亡命が認められている人数は、中国からの移民が最も多い。連邦政府の統計によると、2011年から13年に亡命が認められた中国人は2万7000人を超え、全体の3分の1を超えた。2番目に多かったのはエジプトの約7300人だ。

これは1996年に米移民法が改正され、中国移民に亡命を許可する要件が緩和されたことが一因だ。

法改正により政治難民の定義が広げられ、「強制的な人口管理プログラム」の結果として中絶や不妊手術を余儀なくされた人々、あるいは余儀なくされると恐れる合理的な理由がある人々が含まれることになった。

これにより、通常は判事や移民審査官に認められる「政治的迫害」判定の裁量権が一部奪われた。専門家によると、このため中国移民は有利な立場に置かれ、帰化した中国移民の約4割は政治亡命と認定されている。

しかし一人っ子政策が撤廃されれば、中国移民が迫害を証明するのは従来より難しくなりそうだ。サンディエゴの亡命専門弁護士、タミー・リン氏は、中国移民が強制的な家族計画法に基づいて亡命を認められるかどうかに「重大な影響」があると考えている。

一方で、中国政府が引き続き強制的な妊娠中絶、不妊手術や他の強硬な手段を通じて子供の数は2人までという新たな制限を設けるなら、法的基準は変わらないと見る専門家もいる。

■恩恵は1億世帯?

[上海/北京 30日 ロイター] - 中国共産党が「一人っ子政策」の撤廃を決めたことについて、現地英字紙チャイナ・デーリーは30日、約1億世帯が恩恵を受けられると報じた。

中国共産党は、29日まで開催していた中央委員会第5回全体会議(5中全会)で、数十年にわたり続けてきた「一人っ子政策」を撤廃し、すべての夫婦に第2子をもうけることを認める方針を決定した。

同紙は、これに対する学識者のコメントを紹介。

北京大学の社会学者Lu Jiehua氏(訂正)は、「1970年代に生まれた夫婦は、チャンスを逃すまいと第2子を持つことを望むだろうが、80年代、90年代生まれの夫婦はさほど急いでいない」と述べ、効果が出るには一定の時間を要するとの見方を示した。

また、南開大学(天津市)のYuan Xin氏は、今回の方針は都市よりも、大家族への関心が高い地方に与えるインパクトが大きいとの見方を示したとしている。

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