政府は11月26日、1億総活躍社会への具体策を検討する「1億総活躍国民会議」を首相官邸で開き、緊急対策を決定した。「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」などの達成に向けて、保育と介護の受け皿をそれぞれ新たに50万人分拡充することなどが柱となった。ロイターなどが報じた。
緊急対策は、基本的に2015年度の補正予算案で対応する、「特に緊急に対応すべき施策」と、2016年度以降に対応する施策に分類される。「特に緊急に対応すべき施策」として、GDP600兆円に向けて、所得の低い年金受給者に対し、1人あたり3万円程度の現金給付を行うという。
他の対策は以下の通り。
・希望出生率1.8を実現するために、2020年度末までに保育所などの保育サービスの受け皿を新たに50万人分拡充のほか、不妊治療への助成の拡充、3世代同居のための住宅建設支援などを盛り込まれた。
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・介護離職ゼロに向けて、2020年代初めまでに特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、介護サービスの受け皿を新たに50万人分拡充。都市部に特別養護老人ホームなどを確保するため、国有地の賃料を減額したり、設置基準を緩和したりするという。
・2016度以降に対応する施策として、消費を底上げするため、最低賃金を、全国平均で1000円となることを目指す。
■介護や保育の職員、処遇改善は見送り
緊急対策は、介護や保育に手厚い施策が特徴だ。しかし、人材不足が深刻化している職員の賃金水準の低さへの対応は、2016年春にまとめる「1億総活躍プラン」以降に見送られた。
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人材確保策として、離職した保育士の再就業を支援したり、介護福祉士をめざす学生らへの貸し付けを拡充したりする施策は盛り込まれたが、課題である処遇改善の抜本策も議論が必要だろう。
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