[東京 7日 ロイター] - 証券取引等監視委員会は7日、東芝に対して73億7350万円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告したと発表した。監視委は、有価証券報告書等の虚偽記載が金融商品取引法違反に当たると判断。開示検査の事案では過去最高の課徴金額となった。
監視委は、東芝が一部の工事進行基準適用案件で工事損失引当金の過少計上および売上の過大計上を行ったほか、映像事業、パソコン事業および半導体事業などの一部で、売上原価の過少計上や費用の過少計上を行ったなどと認定。虚偽の財務情報に基づいて大量に社債を発行したことで課徴金額が膨らんだ。
監視委は、東芝問題の重要性を考慮し、不正会計の根本原因に踏みこんで検査、分析したとしている。
東芝の株主、約3億円の損害賠償請求を提起 1000人規模に拡大も
[東京 7日 ロイター] - 東芝の不正会計問題で株価下落による損害を受けたとして、同社の個人株主50人は7日、東芝と元経営幹部を相手に約3億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。今後、大阪などの地裁にも同様の訴訟が提起される予定で、弁護団によると、個人株主による東芝への訴えは最終的に1000人程度に拡大する見通し。
原告は同日、東芝の不正会計で株価が下がり損害を被ったとし、3億0199万5607円を求める訴訟を、法人の東芝と、歴代3社長の西田厚聡氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏のほか、元最高財務責任者(CFO)をつとめた村岡富美雄氏、久保誠氏の計5人に起こし、受理された。
今後、別の個人株主による提訴が14日に大阪地裁、21日に福岡地裁でも予定されている。2016年3月をめどに中国四国地方でも訴訟が予定されている。
会見した弁護団によると、最終的に訴訟に参加する原告を17年3月まで募集し、賠償を請求する株主数は1000人程度に膨らむ見通しという。
東芝の広報担当者は「訴状を受け取っていないためコメントは差し控える」としている。
株主からの訴訟は国内にとどまらない。同社の海外投資家は、米カリフォルニア州連邦地裁に6月4日付で集団訴訟(クラスアクション)を提起している。東芝は、原告が米国預託証券(ADR)の保有者であるのを理由に、訴訟の棄却を申し立てる方針で準備を進めている。
東芝の株式は米市場で上場していないが現物株を裏付けとした預託証券が流通しており、今回の米国における原告はADRの保有者。