イギリスの自然派化粧品会社「ラッシュ」は、石けんでチャリティ活動を進めようとしている。
2月15日、ラッシュは「ハンド・オブ・フレンドシップ(友の手)」という石けんを限定発売した。ハート形で2本の手が握手しているように見える石けんだ。
LUSH COSMETICS
この石けんの収益は、カナダとアメリカに到着した難民の移住を支援する団体に寄付される。支援団体に含まれるのはアムネスティ・インターナショナル・カナダや国際救援委員会(IRC)だ。アムネスティ・インターナショナル・カナダは、難民を受け入れるコミュニティを増やしたり、難民移住プログラムを拡大するよう政府に働きかけたりしている。IRCは、アメリカに移住したばかりの難民が自給自足できるよう、農業に必要な道具や物資を提供している。
ラッシュのカーリーン・ピッカード氏によれば、ハンド・オブ・フレンドシップは2月15〜28日まで、北アメリカにある230以上の店舗で販売される。総額35万ドル(約3950万円)の収益を見込んでいるそうだ。
このキャンペーンのきっかけは、2015年にアメリカとカナダが発表したシリア難民の受け入れ計画だ。アメリカは2015年9月に、1年後の2016年9月末までに1万人のシリア難民を受け入れると発表した。またカナダは同年11月、2016年2月末までに2万5千人のシリア難民受け入れを表明した。
トロントに到着したシリア難民の一家。
カナダ政府によると、11月初旬から2月17日までの間に、2万1,000人を超えるシリア難民がカナダに到着した。半数以上は政府援助難民、つまり衣食住にかかる費用をカナダ政府が最大1年間支援する難民だ。
一方、アメリカでの難民受け入れは、カナダより難しくなってきている。きっかけになったのは2015年11月に発生したパリ銃撃事件だ。この事件では犯人の遺体のそばでシリアのパスポートがみつかり、その後IS(イスラム国)を名乗る団体が犯行を認めた。この後、州知事の半数以上がシリア難民の州への受け入れ拒否をした。
しかしラッシュはこうした流れを変える手助けをしたいと思っている。
「10年、15年、そして20年後に振り返った時、自分たちが正しい行動を取ったこと、難民を迎える立場を守ったこと、そして歴史の正しい側にいたことがわかるでしょう」とピッカード氏は語っている。
シリアの都市アレッポの通りを歩く子供たち。アレッポは多くの空爆で破壊され、現在政府軍に囲まれている。
シリア国内では政府軍と反政府軍が戦闘を続けており、多くの一般市民が包囲された地域に隔離されている。ISもシリア国内での攻撃を加速させている。国連によると、少なくとも460万人のシリア人が国外に避難した。
アメリカやカナダにたどりついた難民たちの多くが、職探しや文化・言語の壁、医療機関を探すといった困難に直面する可能性がある。アメリカ国内に住むイスラム教徒の多くは、いまだに差別やハラスメントに苦しんでいる。時には暴力の犠牲になることさえあるのだ。
ラッシュは、北アメリカの店頭のほとんどにアラビア語で「Ahlan wa Sahlan(アハラン ワ サハラン=ようこそ)」という文字を掲げている。文字の発音も表示しているのは、難民に挨拶できるよう人々に覚えてもらうためだとピッカード氏は説明する。
とても素晴らしい、心温まる取り組みだ
カナダでは、難民を温かく迎えいれるために多くの活動が行われている。あるプロジェクトでは、シリア難民の子供たちのために、カナダの子供たちが学用品をいっぱいつめたバックパックを準備した。シリア難民たちが到着した時に歓迎できるよう、アラビア語会話を教える学校をつくった人たちもいる。
「つらい体験した人々が北アメリカに来て、家を建て、新しいコミュニティに加わる時、温かく迎え入れられていると感じてもらうことがとても大切だと思いました」とピッカードは語った。
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
▼関連スライドショー(写真をクリック)▼
【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はTwitterでも情報発信しています。@HuffPostJapan をフォロー