ヒラリー・クリントン氏、初の女性大統領への高揚感が生まれないのはなぜか?

ヒラリーは、ジェンダーの問題をどうやって進めていくのだろうか?
Democratic presidential candidate Hillary Clinton gestures as she greets supporters at a presidential primary election night rally, Tuesday, June 7, 2016, in New York. (AP Photo/Julio Cortez)
Democratic presidential candidate Hillary Clinton gestures as she greets supporters at a presidential primary election night rally, Tuesday, June 7, 2016, in New York. (AP Photo/Julio Cortez)
ASSOCIATED PRESS

アメリカでは過去228年間で、44人の大統領が選出されてきた。しかし主要政党の女性指名候補に投票する機会はこれまで一度もなかった。これまでは。

ヒラリー・クリントン氏は6月5日夜、正式に民主党の指名候補に内定していた。しかしそれは6日に勝利宣言するまで封じていた。ニュージャージー州とニューメキシコ州での勝利、カリフォルニア州の開票速報を経て、彼女は過半数を超える代議員の指名投票を獲得した。特別代議員の中での大差リードも相まって、非公式に指名獲得を主張するのには十分だった。

しかしその数字は、歴史的かつ感傷的な夜には似つかわしくないデータだ。彼女が最初の州で勝利を収めるよりはるか前から、クリントン氏のキャンペーンチームは彼女のTwitterプロフィール写真を「歴史が作られる(History made)」に変更し、彼女が壊した壁にスポットライトを当てた動画を公開した。ブルックリンで開催されたイベントは、彼女を応援する女性や娘連れの父親でいっぱいだった。

大きな夢を見る少女たちへ: そう、あなたは何にでもなることができる。大統領にもなれる。今夜はあなたたちのものです。-H

「今夜は見えにくいかもしれませんが、私たちの頭上には目に見えない障害が立ちはだかっています。でも心配しなくて大丈夫です。私たちがそれにぶつかることはありません。あなたたちのおかげで、私たちは節目に到達することができたのです」とクリントン氏は述べた。「女性が主要政党の指名候補になるのは、我が国の歴史で初めてのことなのです」。

クリントン氏は勝利演説で、女性に投票権を与える修正第19条が国会で通過した日に彼女の母親が産まれたことを話した。そして、女性のための集会が最初に開催されたのが、まさに彼女がその夜に立っている州だったことも述べた。1848年、ニューヨーク州のセネカフォールズ。当時、少数ながらも決意を持った男女たちが集結し、女性が平等な権利を持つのは当然だと主張した。

「私たちはみな、当時ここに集まった人々から多大な恩恵を受けています。そして今夜はあなたたちのものです」とクリントン氏は述べた。

ジェンダーについてトーンを下げることはなかった。その夜の重要要素はジェンダーだった。クリントン氏は本選に向け、その話題を避けることはないと強い意思表示をした。

しかし、それをどうやって進めていくのだろうか?

先週のインタビューで、クリントン氏のトップアドバイザーであるジョエル・ベネンソン氏は、主要政党初の女性候補指名が保証されていないことに関する不安について異議を唱えた。

「かつては多くの人たちが、アメリカではアフリカ系アメリカ人が大統領になる準備が整うわけがないと言っていました。しかし実際はそうでもありませんでした。彼は50%以上の得票で当選と再当選を果たしました。それが出来た大統領は6、7人しかいません。2つとも圧倒的な勝利を収めたのです」と彼は述べた。

6日、さまざまな大統領選の分析から、クリントン氏のジェンダー政策は、戦略家や政治評論家が十分に予想できなかった形で、投票者に刺激を与え、全体としてプラスになるだろうと予想された。民主党の戦略家を長年務めるアニータ・ダン氏は、バラック・オバマ大統領が8年前に指名を獲得した夜について報じた「シカゴ・トリビューン」紙の表紙を思い出した。「オバマは歴史を作る」。まさに今作ろうとしている歴史を予測しても、それを実現させる瞬間の準備はできないと彼女は述べた。

「初の女性大統領について仮説的に考えることと、ヒラリー・クリントン氏が実際に主要政党の指名候補になることには違いがあります。そして多くの女性がこれを思いがけず感傷的に受け止めるだろうと私は考えています」とダン氏はメールで回答した。「そして、まるでドナルド・トランプ氏が男の友情ものでない映画に引き立て役としてキャスティングされているような状況になっています!」

ダン氏の見方では、クリントン氏にとって、長年にわたって女性嫌悪の発言をしてきたトランプ氏ほど絶好の相手はいない。またドナルド・トランプ氏の本選に向けたスタートは客観的に見て酷いものだったことも有利に働いている。彼は自身が営利目的で運営している大学の訴訟を担当するメキシコ系米国人判事に人種差別的発言をしたことで批判されている。

実際、トランプ氏は大きくつまづいた。民主党員たちの中では戦略を練り直し始めているほどだ。選挙が始まる中、クリントン氏が敵の戦略を上手くかわしていると見る人もいる。「この数週間が何かの兆候であるとすれば、ドナルド・トランプ氏は今最もひどい悪夢に見舞われている。民主党員たちは彼が自滅しているところに入り込む必要はありません。そのままにしておけばいいのです」と、民主党全国委員会の元通信連絡長のモー・エレイジー氏は述べた。彼は2008年の選挙活動でにクリントン氏の主任報道官を務めた人物だ。

エレイジー氏は、自分の選挙活動に有利な状況を作るために、相手を完全に無視して自爆行為を続けさせればよいとクリントン氏に伝えていない。民主党の首脳たちは、トランプ氏を刺激し続けて有権者たちが、彼は大統領に不適格だと見なすように促していくと語った。「トランプ氏はこれまでに非常に怒りっぽいことを自分で示してきました。彼の抑制が利かないところや不寛容さに焦点を当てることで、新たな怒りを巻き起こし、予期せぬ報復を生み出す」と、オバマ大統領の上級顧問デイビッド・アクセルロッド氏は述べた。

6日夜、クリントン氏がスピーチでトランプ氏を不安定で不適格だと表現したことから、彼女はアクセルロッド氏の戦略に同調したように見える。トランプ氏に急旋回し、先週彼女が行った手厳しいスピーチのテーマをそのまま繰り返したからだ。

「ドナルド・トランプ氏は資質的に大統領や最高司令官に向いていません。そして彼はアメリカとメキシコに壁を作ろうとしているだけでなく、アメリカ人同士の間にも壁を作ろうとしています」と彼女は述べた。「彼が『アメリカを再び偉大な国にしよう』と言いますが、それを紐解けばアメリカを逆行させようということなのです」

6日夜の集会でのクリントン氏

トランプ氏へのアプローチは、クリントン氏が予備選挙から本選に向かうために取り組んでいる方程式の一部に過ぎない。その方程式の「他の部分」とは、選挙戦でのアピールの中に、ジェンダーをどれだけ取り入れるかだ。それに加え、勝負どころをどこにもってくるか、不満を抱くバーニー・サンダース議員の支持者たちをどのようの取り戻すかが問題である。

クリントン陣営の発表によると、彼女は来週、五分五分の戦いを繰り広げたオハイオ州と、トランプ氏が白人層や労働者クラスの投票者たちに訴えかけて食い込もうとしているラストベルト(中西部から北東部に位置する、鉄鋼や石炭、自動車などの主要産業が衰退した工業地帯)のペンシルバニア州に出向く予定だ。本選に向けたキャンペーンの最初の目的地としてはやや保守的な選択だ。以前アリゾナ州やジョージア州のような非伝統的な州では綿密に調査することをクリントン氏に推奨していたアクセルロッド氏は、彼女は「ラストベルト地域への侵入に対して補強が必要だ」と述べた。

近い将来、オバマ大統領がクリントン氏の応援演説を行うことが期待されている。クリントン陣営はそれが進歩主義者や民主党員の支持を結束させるための大きな助けになると期待している。しかし6日夜、クリントン氏は自分でその結束を実現しようと試みた。サンダースに投票者たちに政策根拠について訴えかけたのだ。彼女は共通の敵を持つこや、団結することで変化を生むことができると主張した。

「もし私たちが一丸となれば、さらに強くなれるので、共に立ち上がることができます」とクリントン氏は述べた。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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