EU離脱(ブレグジット)の賛否を問う国民投票を6月23日に控え、21日夜、ウェンブリー・アリーナで6000人の聴衆が見守る中、離脱派と残留派によるBBC主催のテレビ討論会が行われた。
離脱派の中心人物ボリス・ジョンソン前ロンドン市長は、残留派が企業経営者などにEUを離脱した際のリスクを必要以上に訴えてプレッシャーをかけている「恐怖作戦」を展開していると批判し、残留派のサディク・カーン現ロンドン市長は、ジョンソン前市長が移民問題で反移民感情を煽る「憎悪作戦」を先導していると反論し、激しい舌戦となった。
サディク・カーン現ロンドン市長(右)とデイビッドソン党首。手前はジョンソン前ロンドン市長
カーン市長は、イラクやシリアといった国々を目立たせた離脱派のポスターを掲げて、ジョンソン前市長に対してキャンペーンを「恥ずかしく思うべき」と発言した。
討論会には残留派としてカーン市長やスコットランド保守党のルース・デイビッドソン党首、労働組合会議のフランシス・オグレイディ書記長、一方離脱派にはジョンソン前市長、保守党エネルギー相のアンドレア・リードソン氏、労働党のジゼラ・スチュアート氏が参加し、論戦を挑んだ。
カーン市長は、ジョンソン前市長が「カーン氏は移民賛成派だ」と主張したことに対し、即座に反論した。
「ボリス、あなたは移民に関して陳腐な決まり文句を言い始めるかもしれないが、あなたがこれまで行ってきたキャンペーンは、移民に関して言えば、恐怖作戦ではなく、憎悪作戦だ」
手にパンフレットを掲げ、カーン市長はさらにまくし立てた。
「あなたは嘘を言っている。そして人々を恐怖に陥れている。なぜなら、あなたは納税者のお金を使って、『トルコも参加する』と記載した選挙パンフレットを貼り出した。そして、地図がある。地図がある」
「この地図はトルコを赤色で示しているが、地図上で名前が言及されている国はシリアとイラクだけなのです」
「ボリス、これは人々の恐怖をかきたてています。恥ずかしく思うべきです」
討論会では、残留派のスコットランド保守党党首として第二政党の地位に導いたルース・デイビットソン氏の発言が目立った。
スコットランド保守党のルース・デイビットソン党首
デイビットソン氏はジョンソン氏を激しく非難した。彼女は過去にジョンソン前市長を「大言壮語でやかましく、猫のような作り笑いをして、いつも脱線したホラ話をする」と批判したことがある。
また、デイビッドソン氏は、失業が「あるかもしれないし、ないかもしれない」とジョンソン氏が発言したことを非難した。
「それでは十分ではありません」とデイビッドソン氏はジョンソン氏に伝えた。「それじゃあ十分ではないのです」
しかし、ジョンソン前市長は、デイビッドソン氏が人々を恐怖に陥れていると批判した。ジョンソン前市長は「それほど時間はかからなかったですね。最初は、前向きな愛国的な主張を行えると言っていましたが、『恐怖作戦』に戻ってしまっています」と言った。
しかし、デイビッドソン氏は反撃した。彼女はジョンソン前市長に、「イギリス人の雇用を守りたいと思うのは前向きなのです」と述べた。
離脱派側では、ジョンソン前市長がイギリスに対するEU法の優位性に関してカーン市長に疑問をぶつけ、カーン氏を沈黙させた。
反論するボリス・ジョンソン前市長
「ひとつ統計の話をしましょう。EU単一市場の話が延々とされていますが、EU域外の27か国がイギリスよりも多く、単一市場に輸出しています。21か国でサービス輸出がイギリスを上回っています。私たちにとって最善なのは、沼地を抜け出ることです。サディーク・カーンは完全に間違っていると思います。欧州司法裁判所が私たちの国で最高の司法権を持っています。彼は弁護士ですから、このことを知っているはずです。否定してみてください!」
ハフポストUK版より翻訳・加筆しました。
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