EU離脱、イギリスはどうなる? 数日後、数カ月後、数年後のシナリオ

この新しい時代が、どのようなものになるのかはよく分からない。

イギリスの首相官邸の外で、EU離脱を支持するメッセージが書かれた国旗をまとう人たち

6月23日にイギリスで行われたEU離脱(ブレグジット)の国民投票はイギリスとヨーロッパに新しい時代をもたらすこととなり、その衝撃は世界中に広がっている。

この新しい時代が、どのようなものになるのかはよく分からない。

52%の投票者がEU離脱に、48%がEU残留に投票した後の24日、イギリスは動揺していた。国民投票を呼びかけ、残留を呼びかけていたデビッド・キャメロン首相は退陣を表明した。金融市場とイギリスポンドは大幅に下落した。

衝撃と不安定な状況のなか、イギリスに関係する世界中の国の間で湧き上がっている疑問。――この後どうなるのか?

多くのことは不透明だが、この数日、数カ月、数年に及ぶ影響をまとめてみた。

イギリスがEU離脱に投票した後、ダウニンングストリート10番地で退陣を表明したイギリス首相デビッド・キャメロンを、サマンサ夫人が横から見ている。

今週の動き

1日ですべてが変わるという訳ではない。キャメロン首相は保守党が新しい党首を選出するまでその座にとどまる。イギリスは公式の離脱交渉が成立するまでEUの一員だ。

一方、ヨーロッパ中でこの後どうするべきかという議論が始まるだろう。

25日には、EU創立国のドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの6カ国外相がベルリンで緊急会合を開き、ブレグジットの影響と対応を協議した。

ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー外相は会合後の記者会見で、イギリスの離脱交渉を速やかに進めることで一致したと述べた。また、フランスのジャン=マルク・エロー外相は「イギリスの次期首相は数日中に決めなければならない」と述べた。

イギリスでは(週末に緊急議会が招集されなければ)27日に国民投票後初めてとなる議会を開く予定だ。

ヨーロッパの各国首脳も27日、今後の対応を協議するための緊急会合を開く。欧州委員会も同日ブリュッセルで臨時総会を開催する。その後、ヨーロッパの3人の主要なリーダー、ドナルド・タスクEU総裁、フランスのフランソワ・オランド大統領、ドイツのアンゲラ・メルケル首相がベルリンで会合する。

ヨーロッパ議会も28日に緊急議会を招集する。その後、あらかじめ予定されていたEU加盟国全28カ国の首脳会合がブリュッセルで開かれる。そこではキャメロン首相が他の首脳陣に国民投票とこれからのイギリスの計画について説明することになっている。

週明けには保守党の次の党首にかんする憶測が飛び交いだすだろう。また、24日に労働党の党員がジェレミー・コービン党首に対して不信任案を提出したため、対抗する労働党の党首交代も考えられるだろう。

イギリス労働党のジェレミー・コービン党首は、今回の国民投票では「残留」を支持した。いまや彼の政治生命は不透明になった。

今後数カ月の予定

いま最も重要な問題は、イギリスがいつEUの離脱条項(リスボン条約第50条)を行使するかだ。これが発動されると、2年をかけてイギリスのEU離脱条件、離脱後の関係について両者間の交渉がなされる。それには貿易や移民の問題も含まれる。

いつどのように第50条が行使されるか、それに続く交渉がどのようなものになるのかは全く見通せない。これまでにEUを離脱した国など存在しないからだ。

技術的な話をすれば、イギリス政府次第である。キャメロン首相は選挙運動のさなか、もし「離脱派」が勝利を収めればできるだけ速やかに離脱手続きを実施したいと述べていたが、6月24日に行われた辞任会見では(手続きの)決定は後任の首相に委ねるとした。

保守党が新たな党首を選出するには数カ月かかる(キャメロン首相は10月を期限とした)。議会が新党首に対し有権者からの信任を得るべきだと圧力をかければ、2016年後半か2017年に総選挙を実施する可能性がある。

イギリス政府はEUや自国の議会からも圧力を受けるだろう。EU首脳は24日、イギリスは早急に離脱手続きを開始すべきだと促した。一方、EU残留支持にまわったイギリスの議会メンバーは、離脱手続きの先延ばしを画策しようとしている。

国内に不穏な動きがある。スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相が24日、スコットランド住民の多数がEU残留を支持したことを受け、イギリスからの独立に関する新たな住民投票実施に向けた準備を開始すると述べた。スタージョン党首によれば、ブレグジットによって、スコットランドは自ら歩むべき道を選択することが正当化されたのだという。

一方、北アイルランドのマーティン・マクギネス副首相(アイルランドのナショナリズムを掲げるシン・フェイン党出身)は今回の投票後、アイルランド統一に関する住民投票の実施を呼びかけた。

「残留」派の人たちがEU国民投票の結果を眺めている。イギリスで新たな首相が決まるのに数カ月かかり、EUとの離脱交渉がまとまるのには数年を要する

2017年

EU首脳は、共同体としての一体感を取り戻し、さらなる離脱懸念を鎮めるためにもイギリスとの離脱交渉に際しては速やかに、そして強い決意をもって臨もうとするだろう。EUに懐疑的な政治運動が著しい他の国が離脱しようとする動きを阻止するため、EUはイギリスに対し強い態度で交渉することになるだろう。

しかし、いくつかの要因で、手続きがスムーズに運ばない可能性がある。2017年はフランス、ドイツ、オランダで選挙が予定されている。フランスでは極右政党国民戦線のマリーヌ・ル・ペン党首が4月の大統領候補者として世論調査でリードしている。彼女自身、フランスもEU離脱を問う国民投票を実施すべきだと主張している。

オランダで反移民を訴える自由党のヘルト・ウィルダース党首もまた、自国での国民投票実施を求めている。彼は2017年3月の選挙を前にして支持率を上げている。

ドイツでは、来年の選挙に向けてメルケル首相が厳しい戦いに直面している。自身の支持率が低下しているほか、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が首相の移民・難民政策に対し強い不満を表明しているからだ。

その後

リスボン条約第50条では、特定の国がEUを離脱するのに2年の時間軸を定めているが、期間延長も認められている。

交渉や延長手続きをしないで期限切れになった場合、技術的な話をすればイギリスはそのままの状態でEUから離脱し、EU法は一切適用されなくなる。

EUとイギリスの交渉がまとまれば、次にEUの全27加盟国が交渉内容に批准しなくてはならない。EUのトゥスク大統領によれば、その手続きにはさらに5年かかるという。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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