株安の影響で、2015年度の公的年金の積立金の運用は、5兆円を超える損失となることが確定した。ただし正式な公表は参院選後になる。
7月1日付の朝日新聞朝刊が関係者の話として報じ、各メディアも1日午前に伝えた。
朝日新聞デジタルによると、国民年金や厚生年金の積立金約140兆円を株式や国債などで運用している「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)は6月30日に非公開で運用委員会を開き、厚生労働省に報告した。
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ロイターは「年初からの円高・株安の影響で、保有する国内外の債券、株式のうち国内債券以外の資産で赤字が膨らんだもよう」と伝えている。
安倍政権は2014年10月からGPIFの運用を見直し、株式による運用の比率を倍増させ、総資産の半分を株式市場で運用している。このため株式相場の変動の影響を受けやすくなり、世界的な株安が続いた2015年度以降、損失がふくらんだと見られる。現状もイギリスのEU(欧州連合)離脱を巡って不安定な株式市場が続いており、混乱は続くとみられる。
野党は安倍政権の運用変更や、運用結果の公表を参院選後に先送りしたことを追及する方針だ。
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一方で与党側は、運用変更後の運用益が民主党政権時代を上回ったと強調している。
【訂正】2016/07/03 0:20
当初の記事で「国民年金や厚生年金の積立金約140兆円を株式や国債などで運用している」とあるのは、正しくは「140兆円」でした。
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