小池百合子・東京都知事のお膝元で、政務活動費の不正使用疑惑が明るみに出た。
自民党豊島区議団(14人)が政務活動費で、河原弘明幹事長が専務を務める印刷会社に、新聞に折り込んで配る区政報告や、名前入りの封筒などの印刷を発注していた。11月8日、資料を閲覧した市民団体のメンバーが記者会見で明らかにした。
河原弘明区議
議員自身や親族が経営する会社に政務活動費を支払うことは「議員個人及びその関係者の資産形成につながる経費」として、豊島区議会は支出できないと取り決めている。
豊島区役所で会見した「としま政務活動費を考える会」によると、自民党豊島区議団からこの印刷会社への支出は、閲覧できた2011~2015年度の5年間で、計1078万5879円にのぼる。年ごとの額は少ない年で約143万円、多い年で約289万円だった。区議団名義のほか、所属議員14人(現職1人を除く。都議に転出した1人を含む)名義のものもあったという。
会見した「としま政務活動費を考える会」
記者会見した会の代表、竹田克也さん(37)は区内で総菜店を営んでいる。「毎日、しんどい思いをして稼いで収めた税金が、このように使われていることに憤りを感じる。犯罪行為と行っても過言ではないと思う。返還は最低限と思うが、関わった議員個人や議員団としてどう対応するのか、しっかり見ていきたい」と話した。
河原氏が役員を務める印刷会社に、自民党区議団が支払ったとする領収書
この疑惑をTBSが10月28日に最初に報じた際、河原氏は金額を毎年「20~30万円」としていたが、実際にははるかに多い額だった。初当選した10年前から続けていたとも話していた。
「新聞折り込みだけでも7~8万部くらいは作っていた。(Q.この新聞を7~8万部刷ったらどのくらいの金額になる?)20~30万円ってところですかね。皆様方に不審がられるということがあれば、この(印刷の)仕事に関しては私の方ではやらないような方向にしてもいいかなと思う。お金を含めた使い方や行動全て、小池さんに迷惑がかからないようにやらなくてはいけない」(自民党豊島区議団 河原弘明 幹事長)
(News i - TBSの動画ニュースサイトより 2016/10/28 23:21)
ハフポスト日本版は、改めて河原議員に電話で取材を申し込んだが、応答はない。
自民党区議団の区政報告
河原区議は、7月の都知事選では自民党都連の方針に反し、小池百合子氏を支援した「7人の侍」の1人。都連は当初、豊島・練馬区議の7人に離党勧告していたが、「本人に意見聴取をする」として、10月30日に処分を延期したままだ。
■各地で問題化する政務活動費
政務活動費を巡っては、豊島区議会を含め、議会事務局が一定額を前払いし、使用分の領収書がなければ未使用分の返却を求める議会が多いため、使ったかのように偽装工作した事例が、相次いで発覚し、問題になっている。
話題になったのが、元兵庫県議の野々村竜太郎氏。2013年度に日帰り出張に年197回行ったとして、年間の政務活動費600万円を使い切っていた。兵庫県議会は、交通費は自己申告の「支払証明書」で支出を認めていた。2011~13年度に計913万円をだまし取ったとして、詐欺罪などで懲役3年執行猶予4年の有罪判決が確定している。
富山市議会では、議員が領収書を偽造するなどの手口で政務活動費を詐取していたことが次々に判明。計12人が辞職する事態となり、11月6日に補選が行われた。
豊島区議の一人は「取引自体は適正でも、利益が上乗せされている時点でアウト。議会でも追及していく」と話している。
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