菅義偉官房長官は12月12日午前の記者会見で、自衛隊の戦闘機が中国軍機の飛行を妨害したと中国国防省が発表したことに対し「事実と明らかに異なる」と述べ、外交ルートを通じて抗議したことを明らかにした。時事通信社などが報じた。
防衛省によると、12月10日午前、中国軍の戦闘機や爆撃機、情報収集機など計6機が東シナ海から沖縄本島と宮古島(沖縄県)の間を飛行した。これを受けて、航空自衛隊のF-15戦闘機が緊急発進(スクランブル)し、警戒監視に当たったと発表した。
中国側の領空侵犯はなかった。
■防衛省が発表した中国軍機の飛行経路
中国国防省は同日夜、飛行の際に自衛隊のF-15戦闘機2機が中国軍機に接近して「妨害弾」を発射し、「中国軍機と搭乗員の安全に危害を加えた」と発表した。同省の楊報道官によると、中国軍機の飛行は特定の国や目標に向けられたものではなく、国際法に適合した訓練だったという。
中国側は自衛隊が発射した「妨害弾」について具体的な説明はしていないが、
時事通信社では、ミサイルを回避する火炎弾(フレア)のような防御装置を指している可能性があると指摘している。
この談話を受けて、日本の防衛省は12月11日、中国側の主張を否定する文書を発表。
同省は、「中国軍用機に対し、近距離で妨害を行った事実はなく、妨害弾を発射し中国軍用機とその人員の安全を脅かしたという事実も一切ありません」とした上で、事実と明らかに異なることを一方的に発表したことに対して「極めて遺憾」だとコメントした。
また、ロイターによると、菅官房長官は12月12日午前の記者会見で、中国側の発表が事実と異なるとの見解を改めて述べた。
菅官房長官は、中国側による一方的な発表は「日中関係の改善を損なう」可能性があるとして、外交ルートを通じて厳重に抗議したと話した。活動を拡大している中国軍の動向を注視し、引き続き警戒監視体制に万全を期すとしている。
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