手のひらにすっぽり入った、超未熟児の双子が大きくなるまで。両親が写真で伝える(画像)

まだ小さいけれど、たくさんの物語を持った双子です。

2015年9月23日、マット・ムーアとジョーダン・ムーア夫婦は、双子の男の子と女の子を家族に迎えた。双子は予定日より4カ月早く産まれたため、新生児集中治療室(NICU)で人生最初の3カ月間を過ごさなければならなかった。

この3カ月間は、ムーア夫婦にとって本当につらい時間になった。しかしそのつらい時間を乗り越え、双子は今、自宅ですくすくと成長している。

自分たちと同じように苦しい時を過ごしている親たちに、励ましのメッセージを送りたい。そう考えたマットとジョーダンは、NICUで過ごした3カ月と子供たちが成長していく様子をうつした写真を、Instagramで公開した。

これがその一枚。生後23日目の息子ジャクソンだ。体重は1ポンド8オンス(約680グラム)。父親であるマットの手に、すっぽり入るくらいの大きさだった。


実はこの1週間前、ジャクソンの呼吸が止まり心臓も止まりかける出来事があった。妻のジョーダンがキャプションにこう書いている。

「ジャクソンの小さな小さな体は、静止し灰色になっていました。しかし、NICUのスタッフが、素晴らしい対応をしてくれました。1人の看護師は親指でジャクソンの胸を押し、別の看護師さんが、袋を使って息を吹き込みました。そして、医者がチューブを喉まで差し込みました」

「私は、父親が息子を胸に抱く光景を、もう二度と見ることができなくなるのではないかという不安に襲われました。だけどその一週間後に、私たちはこの写真を撮影することができたのです。生きることの素晴らしさを、心の底から実感しました。そして今、その小さな小さな男の子はエネルギーの塊となり、父親と取っ組み合って遊んでいます。彼は、私たちにとって喜びそのものです」


現在の子育ての様子を、ジョーダンはハフィントンポストUS版にこう語った。

「今は毎日がオリンピックのようです。おむつを取り替えるのに必死です。ジャクソンは強くて、アクティブで、頑固な一面もあります。昔はこんなに小さかったのにと思うと、思わず笑ってしまいますが、本当に素晴らしいことです」

しかし、NICUでの最初の一カ月はとても苦しく「毎日が生きられるかどうかの闘いだった」とマットは語っている。



彼らは、そんなつらい経験を他の親たちには味わって欲しくないと願う一方で、苦しみの中にも素晴らしい面があったことを写真で伝えたいと思っている。

その一つが「子供たちとの強い絆」だ。実は、ジョーダンは重いクローン病を患っていて、その治療が原因で妊娠できなかった。そのためマットとジョーダンは、「受精卵の養子縁組」と代理母を通して、子供たちを授かった。だから「強い絆を築く」ことは、ふたりにとって大きな意味があるものだったという。

受精卵の養子縁組とは、余った受精卵を他の夫婦からもらう制度だ。体外受精をする場合、通常は一度にたくさんの受精卵をつくる。しかし体外受精が成功すると、中には余ってしまう受精卵がある。受精卵の養子縁組では、その余った受精卵を譲り受けて子供を設ける。

「アメリカでは、60万個以上の受精卵が凍結保存されています。体外受精を成功させた夫婦は、余った受精卵をどうするのか、難しい決断を迫られます。費用を払って受精卵を保存し続けることもできますし、廃棄することも、研究に使うために寄付することも、もしくは受精卵の養子縁組として、他の家族に提供することもできます」とジョーダンは話す。



受精卵の養子縁組をした親たちは、大抵は自分で赤ちゃんを産む。しかしクローン病の治療が原因で妊娠できなかったジョーダンは、親友のホリーに代理母をお願いした。

「ホリーとは、産まれたときからずっと一緒です。大人になってからも親友で、お互いの結婚式でそれぞれ花嫁付添人をしました。彼女は私たちの子供とも一生関係のある人です」とハフィントンポストUS版に語った。

息子のジャクソンと娘のキャンディスは、年齢の割に少し身体が小さいという。ジャクソンは近視のために眼鏡をかけていて、肺の病気を抱えるキャンディス、夜の間酸素が必要だ。また、キャンディスはまだ上手く口から食べられないので、チューブを通して栄養をとっている。

それでもふたりは日々大きくなっている。「酸素とチューブはいつか必要なくなるでしょう。ふたりとも、定期的に理学療法や作業療法、言語療法に通い、成長しています」とジョーダンは語った。



マットとジョーダンは、未熟児の赤ちゃんを持つ親たちにこんなメッセージを伝える。

「子供がNICUにいる親の皆さんに、私たちのストーリーを知ることで希望を持って欲しいと思っています。また、お母さんだけじゃなくてお父さんにも『カンガルーケア』と呼ばれる、赤ちゃんを抱いて肌と肌を感じあう育児法の大切さを知って欲しいです」と父親のマットは話す。

「私たちが写真を投稿した理由は、未熟児のいる親や不妊に悩む人たちに希望を持ってもらうため、そして受精卵の養子縁組のことをもっと知ってもらうためです。私たちの経験や、最も苦しかった時間を伝えずに、今私たちがどれほどの喜びを感じているかを知ってもらうことはできません」

マットとジョーダンは、ムーア家の双子の成長記録を、InstagramブログFacebookで公開している。

ハフィントンポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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