東京慈恵会医科大学付属病院が、肺がんの疑いがある影が見つかった70代の男性患者に検査結果を伝えないまま、1年以上治療していなかったと、共同通信などが報じた。担当医が検査結果を見落としたのが原因で、患者はがんが進行し、意識のない状態だという。
時事ドットコムによると、2015年10月、東京都町田市の男性(72)が肝臓の持病で体調を崩して救急外来を受診し、CT検査で肺に影が見つかった。
検査をした放射線科の医師は、「がんの疑いがあり、早期に精査が必要」と報告書に結果を記載したが、消化器肝臓内科の担当医が見落とし、がんの治療はしなかった。
男性は2016年10月、体調を崩して再び入院し、CT検査で肺がんと診断。すでに手術や抗がん剤治療ができないほど、がんが進行していたという。内部調査の結果、主治医が報告書を見落としていたことが判明し、病院側は12月に本人や家族に謝罪した。
男性の息子が「父が長年通っていた病院で信頼していたのに、検査結果が見落とされて悔しい。同じミスが2度と繰り返されないよう再発防止を強く求めたい」と語ったと、NHKは報じている。病院側はハフィントンポストの取材に対し、「大変遺憾。全力で治療に当たっており、改善策を検討して再発防止に努める」と話した。
ハフィントンポストは1月31日、医療事故の分析などをしている日本医療機能評価機構に電話取材した。今回のように、画像診断報告書を確認しなかったため、治療が遅れた可能性のある事例は、調査を開始した2004年から2016年9月の間に、40件報告があった。全国1031の医療機関を対象に報告を集めている。
報告の中には、放射線検査で「肺がんの疑いあり、CT検査が望ましい」という結果が出ていたのに、主治医が検査を依頼したことを忘れて内容を確認せず、2年後の再検査で見落としに気付いた事例などがあったという。
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