アメリカのドナルド・トランプ大統領が2月4日、イスラム圏7カ国出身者の入国を一時禁止する大統領令の執行停止を命じたシアトル連邦地裁のジェームズ・ロバート判事を「いわゆる判事」と罵倒した。
この「いわゆる判事」の見解は、本質的にわが国から法執行機能を奪うものだ。ばかげているし、覆されることになる！
トランプ大統領が、ロバート判事を「いわゆる判事」と個人攻撃して話題を呼んだツイートをきっかけに、今度は『ボウリング・フォー・コロンバイン』や『華氏911』といったドキュメンタリー映画を手がけたマイケル・ムーア監督が、トランプ氏に「いわゆる大統領」とあだ名をつけた。
ムーア監督は次のようにツイートした。
ありがとう、いわゆる大統領のトランプ！ この2週間、あんたのことをなんて言おうか悩んでいたけど、あんたのツイートのおかげでいい答えが浮かんだよ。
ムーア監督の他にも同じことを考えた人が多く現れ、Twitterは「#SoCalledPresident(＃いわゆる大統領)」のハッシュタグを付けた辛辣なツイートで埋め尽くされた。
「いわゆる判事」と言い放った「いわゆる大統領」
お次は……
「いわゆる法律」
「いわゆる民主主義」
「いわゆる自由」
「法律が何たるかを口にできるのは、断固として州と司法省だけだ」マーベリー対マディソン事件 1803年
＃いわゆる大統領のハッシュタグで、市民の権利が何かを思い出せるだろう。頼むぞ、トランプ。
#いわゆる大統領は、着任後2週間でデタラメな大統領令に署名し、いい加減な軍事計画を指揮し、300万ドル分の税金を使って休暇中だ。
ロバート判事の名を汚すようなトランプ大統領の発言は、法律の専門家たちの間に混乱を招いた。こうした攻撃は独立した司法制度を弱体化させ、法律や法的制限に対する配慮を無視するものだとの声が上がっている。この騒動により、大統領あるいは連邦政府関係機関が裁判所からの命令を無視する選択をしたら、憲法を揺るがすのではないかとの懸念が生じた。
マイク・ペンス副大統領は2月5日、トランプ大統領の発言を擁護し、大統領は単純にロバート判事による判決に対し「苛立ちを表明した」だけだと発言した。「トランプ大統領は判事による判決の正当性を疑問視していたとは思わない」と、ペンス氏はCBS放送のテレビ番組「Face the Nation」で語った。
ロバート判事に慰めの言葉をかけるとすれば、ツイートのおかげでトランプ大統領のターゲットとなる「いわゆる」ファミリーの一員になれたことだろう。カルチャーレビューサイト「The A.V. Club」が実施した調査では、トランプ氏は他にも「いわゆる二酸化炭素排出量」や「いわゆる大統領候補討論会委員会」「いわゆる一般投票」「いわゆる指導者」「いわゆるオバマ時代」「いわゆる大物セレブ」、そしてもちろん「いわゆるジャーナリスト」と言及している。
いわゆる「大物」セレブはみんな大統領就任式のチケットを欲しがってるが、彼らがヒラリーに何をしてやったのか思い出してみて欲しい。何もしてないだろう。私が来て欲しいのは一般の「人」だ！
ロシアがクリミアを奪ったのは、いわゆるオバマ時代だ。誰もが知っていることなのに、どうしてオバマは非難されないんだ？
メディアには、正確さに対してもっと高度な基準を設けるべきだ。一部のいわゆる「ジャーナリスト」が嘘をでっち上げて処罰をされないなんて信じられない。
共和党のベン・サス上院議員は5日、「いわゆる大統領」について言及したが、トランプ大統領がロバート判事に対して放った言葉に少し当惑していたようだ。
「正直に言いますが、あんな言葉は理解できません」と、サス氏はABCテレビ番組「This Week」で語った。「いわゆる判事なんていません。いわゆる上院議員もいませんし、いわゆる大統領もいません」
サス議員はこう付け加えた。「3つの異なる政府機関で働く人がいて、憲法を支持し、憲法を守る誓いを立てています。子供たちのために、今よりも良い公民教育をするのは重要なことです。だからいわゆる判事なんていません。いるのは本物の判事です」
ベン・サス上院議員、トランプ大統領の連邦判事に対する攻撃に対し「『いわゆる』判事なんていない」と言及
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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