北朝鮮の中央裁判所は報道官談話を発表し、韓国紙の東亜日報と朝鮮日報について「国家の尊厳を冒涜した」と批判。両社の社長と特定の記者に対し「極刑に処する」「即時執行だ」と威嚇した。朝鮮中央通信が8月31日に伝えた。
東亜日報と朝鮮日報は、ロイター通信ソウル特派員らが出版した『ノース・コリア・コンフィデンシャル』を紹介した記事を掲載していた。
同書は近年の北朝鮮社会の変化を分析、紹介したもので、8月には『朝鮮資本主義共和国 ビールオタクの記者と北朝鮮専門特派員がスキニージーンズで北朝鮮に行く』というタイトルで韓国語版が出版された。
聯合ニュースによると、北朝鮮は中央裁判所報道官談話で『ノース・コリア・コンフィデンシャル』について「我々の現実を悪辣に中傷し、歪曲捏造した詭弁で飾られている」と批判した。
その上で、同書の韓国語版が、北朝鮮の国章の赤い星をドル($)マークに変えたものをパロディとして表紙に用いたことや、北朝鮮の正式名称「朝鮮民主主義人民共和国」を皮肉った書籍タイトル「朝鮮資本主義共和国」について「容認できない特大型反国家犯罪だ」と非難した。
さらに、東亜日報と朝鮮日報が同書を引用し、北朝鮮を「資本主義国家より金の力が強く作用する国」「金持ちはいつでも身分の高い人と結婚できる」と中傷したと批判。両社の社長と記事を執筆した記者を名指した上で「共和国刑法に基づいて極刑に処することを宣告する」「刑は対象が確認され次第、任意の時刻に任意の場所で追加手続きなく、即時執行されるだろう」と主張した。
こうした北朝鮮の動きに韓国政府は不快感を表明した。統一省はベク・テヒョン報道官名義で北朝鮮の威嚇行為を批判する声明を発表した。朝鮮日報によると、内容は以下の通り。
「北朝鮮が、我々のジャーナリストの正常な報道活動を非難し、そのジャーナリストの実名まで挙げて『極刑』云々するという非常識な脅迫を強く糾弾する」
「ジャーナリストの正常な報道活動に対する脅威は、言論の自由に対する重大な脅威であり、介在行為として相手の尊重に基づいて進められる南北関係の発展にも全く役に立たない」
その上で、統一省は声明で「政府は、国家安全保障と国民の安全については、一歩も後退したり、妥協しないという確固とした立場を持っている」「私たち国民の身辺の安全を保護するために必要なすべての措置を取っていく」と表明した。