北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は滞在先のニューヨークで9月25日、アメリカのトランプ大統領の最近の発言について「明らかな宣戦布告だ」と非難する声明を発表した。AP通信などが報じた。
BBCによると、李外相はアメリカのB1爆撃機が北朝鮮東方を飛行したことを念頭に、「たとえ北朝鮮の領空外であっても、アメリカの爆撃機を撃墜する権利がある」と述べた。その上で、「先に宣戦布告をしたのはアメリカだと、全世界が明確に記憶しておくべきだ」と、強い言葉で批判したという。
これに対し、アメリカ政府のサンダース報道官は「宣戦布告はしていない。率直に言って、そのような考えはばかげている」と反論している。
核とミサイルの開発を進める北朝鮮は、9月に入って核実験や弾道ミサイルの発射実験を強行している。国連総会を挟んだ直近の1週間で、米朝両国は非難の応酬を繰り広げている。
両国が挑発し合った流れは以下の通り。
【アメリカ】トランプ大統領「北朝鮮を完全に破壊」
トランプ大統領は国連総会の一般討論演説の中で、北朝鮮の最高指導者・金正恩氏を「ロケットマン」と呼び、「ロケットマンは自殺任務に突き進んでいる」と非難。
「アメリカと同盟国を防衛するしかない状況であれば、北朝鮮を完全に破壊するしか、他に選択の余地はない」と、強い言葉で批判した。
【北朝鮮】金正恩氏「史上最高の超強硬な対応措置」
トランプ氏の演説に強く反発した北朝鮮側は、金正恩氏が「史上最高の超強硬な対応措置を慎重に検討する」と表明。李外相は、北朝鮮が水素爆弾の実験を太平洋上で実施する可能性を示唆した。
【アメリカ】B1爆撃機が北朝鮮東方を飛行したと発表
アメリカ国防総省が、米軍の戦略爆撃機「B-1B ランサー」が北朝鮮東方の国際空域を飛行したことを発表。同省のホワイト報道官は、南北を分ける非武装地帯(DMZ)のラインから、米軍の爆撃機として「今世紀で最も北まで飛行した」と語った。
【北朝鮮】李外相「米全土にロケットを打ち込むことが不可避」
李外相は国連総会の一般討論演説の中で、「アメリカ全土に我々のロケットを打ち込むことがますます避けられなくなるという撤回できない過ちを犯した」と警告。トランプ氏を呼び捨てにし、「独りよがりの誇大妄想の気が狂った人」と皮肉った。
その上で、「アメリカこそが、北朝鮮に核兵器を使うと脅している」「世界最大の核戦力を持つ国からの『完全破壊』という暴力的な言葉以上の大きな脅しはない」と訴え、「北朝鮮が核兵器を保有するのはアメリカのせいだ」と強調。「軍事行動の兆しを見せたら、無慈悲な先取行動による予防措置をとる」と警告した。
【アメリカ】トランプ大統領、Twitterで李外相を批判
李外相の国連総会での演説を受けて、トランプ大統領は自身のTwitterを更新。「彼がチビのロケットマン(金正恩氏)の考えに同調しているのであれば、二人とも遠くない未来に姿を消すことになるだろう」と書き込んだ。
【北朝鮮】李外相「トランプ大統領が宣戦布告」と非難
北朝鮮をめぐる緊張は、いまだ収まる気配を見せていない。