2016年11月にあったアメリカ大統領選に対するロシア介入疑惑で、トランプ大統領の陣営顧問が選挙戦当時、ロシア側と関係のあるロンドン在住の教授らと頻繁に接触し、対立候補だった民主党のクリントン氏に関するスキャンダル情報の存在を事前に知らされていたことが明らかになった。
アメリカ司法省が10月30日に公開した関係資料に記載されていた。
トランプ氏側とロシア側の接点の一つが明らかになったことで、トランプ氏への不信が高まりそうだ。
公開された資料は、疑惑を捜査しているロバート・ミュラー特別検察官のチームが作成した資料。選挙戦でトランプ陣営の外交顧問を務めていたジョージ・パパドプロス氏に対する事情聴取の内容が記載されている。
それによると、パパドプロス氏は、外交顧問に就くことが内定していた2016年3月中旬、ロシア政府高官とつながりがあるロンドン在住の教授と知り合った。4月下旬には、教授から、ロシア側がクリントン氏に関するスキャンダル情報が含まれた数千通の電子メールを持っていると知らされたという。
パパドフロス氏はまた、この教授からロシア当局とつながりがあるとされるロシア人女性や、ロシア外務省と関係のある人物を紹介され、トランプ氏とロシアのプーチン大統領やその側近らとの面会を画策するなど、頻繁にやりとりを続けていたという。
パパドプロス氏は2017年1月、アメリカ連邦捜査局(FBI)の任意の事情聴取に対し、教授との関係やメールの存在を知らされたことなどについて否定したが、7月に逮捕されると一転、偽証だったことを認めたという。
疑惑をめぐっては、ハッキングされたクリントン陣営や民主党全国委員会が関係する大量のメール情報が選挙中に公表され、ロシア側やトランプ陣営の関与が疑われている。
一方、トランプ陣営の選挙対策本部長を務めていたポール・マナフォート氏と、その側近のリチャード・ゲーツ氏がマネーロンダリング(資金洗浄)などの罪で起訴されたことも30日、明らかになった。
起訴状によると、マナフォート氏らは、ウクライナの親ロシア派大統領だったヤヌコビッチ氏率いる政党「地域党」やそのあとを継いだ政党のロビー活動を手がけて計数千万ドルを獲得。国内外へのペーパーカンパニーや銀行口座などを利用し、少なくとも2016年までの10年間で、1800万ドル(約20億円)以上を資金洗浄したなどとされる。
ABCニュースによると、マナフォート氏らは起訴事実を否認している。マナフォート氏らに対する罪状には、ロシア疑惑に関係するものはなく、トランプ大統領は30日、Twitterに「申し訳ないが、これはポール・マナフォートが陣営に加わる数年も前の話だ。それなのに、ひねくれ者のヒラリー・クリントンと民主党員たちはなぜ焦点にならないのか?????」「共謀は一切ない!」などと立て続けに投稿した。
ロシア疑惑をめぐっては、ほかにも不可解な点が指摘されており、今後もトランプ氏周辺に対する司直の追及は続きそうだ。