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2018年02月25日 17時07分 JST | 更新 2018年02月28日 13時14分 JST

子ども6人を育てる大家族も 「里親・養子縁組」家族の写真から伝わる愛

血のつながりがなくても、私たちは家族。

江連麻紀

血のつながっていない子どもを、家族に迎えて育てる人たちがいる。

彼らの日常をうつした写真展「フォスター」が始まる。

写真展では、血のつながりも法律的な関係もない子どもを育てている、里親や養子縁組家庭の日常を紹介する。

企画したのは、長年里親・養子縁組の支援に関わってきた、静岡大学教授の白井千晶さんと、写真家の江連麻紀さん、そしてNPO法人「Umiのいえ」代表の齋藤麻紀子さんの3人だ。

里親や養子縁組の写真展は非常に珍しく、彼らは日本初ではないかと話す。

Kaori Sasagawa
江連さんと白井さん

これまで、里親講演会などに何度も足を運んできた白井さん。里親のトークがあまりにも素晴らしく、聞き手が「里親になれるのは一部のすごい人。私には無理」と距離を感じてしまうのではと、気になっていた。

「だけど、その"すごい人"たちが、子どもの前では"変顔"している写真をみたら、里親や養子縁組がもっと身近に感じられて、『私にもできるかもしれない』と思えるかもしれません。日常を伝える写真展には、そんな力があります」と白井さんは語る。

「ファスター」の写真とともに、それぞれの家族の温かい日常をのぞいてみよう。

里親の日常1:稲垣さんのお家

江連麻紀
広島でファミリーホームをしている稲垣家。てんちゃんはお父さんが大好きで、撮影中もついついお父さんの方を見てしまう。

江連麻紀
お父さんはとても几帳面。お母さんが干した洗濯物を、お父さんが干し直してまわる。りつ子さんは「洗濯物を干しても、どうせお父さんが干し直すんだけどね」と笑う。

江連麻紀
晩ご飯を待つ子どもたち。こういう日常が、子どもにとっては大事。「今日はお父さんはぴりぴりしてるな」「喧嘩したのかな」など、家庭で人と人との関わり合いを学ぶ。

江連麻紀
この日は体調が悪かった。あいにく日曜で病院に行けなかったので、お父さんが一晩中寝ないで体をさすってくれた。

■台所で始まり、台所を撮る

写真家の江連さんが大切にしているのは「生活感」だ。なかでも、「食」を担う場である台所の風景をたくさん撮影している。

「うどんやお雑煮を食べているところなど、台所のシーンをたくさん撮影しています。『うちの子は、ご飯を食べる時にとってもいい顔するんですよ』っておっしゃる親御さんもいるくらい、台所には生活や幸せがあふれています」

「あと、他の家庭がどんなものを食べているんだろうってみんな興味があると思いますし、写真を見て、こんなもの食べているんだってわかると、もっと里親家庭を身近に感じられるんじゃないでしょうか」

「うどんの鍋をどーんでおしまい、みたいな手を抜いている食事もあるんですが、そんな写真は『ああ手抜きしたっていいんだ』って思えて、ほっとすると思います」

里親の日常2:齋藤さんのお家

江連麻紀
東京都の齋藤夫妻は、実子ふたりを育てながら里親をしている

江連麻紀
生後4ヶ月のときに齋藤夫婦の里子になったのんちゃん。今は生みのご両親の元に戻り、時々齋藤家にも遊びにくる。

里親の日常3:向谷地さんのお家

江連麻紀
北海道にある社会福祉法人「べてるの家」の理事をしているソーシャルワーカーの向谷地さんも、実子と一緒に里子を育てた。

江連麻紀
右から2人目の女性は、中学生の時に向谷地家にやってきた。向谷地家の娘さんはある日突然、通っていた中学校の先生に「この子はあなたのお家に行くそうだから一緒に帰りなさい」と言われて、ともに下校したそうだ。向谷地さんも"すごい里親"ではない。仕事が忙しい時には、近所の家に子どもを預けてご飯を食べさせてもらうことも。「うちって里親してたっけ?」と言うくらい肩の力が抜けた里親さんだ。

■大変なこと

江連さんの写真の多くは、家族の笑顔があふれている。しかし、里親家庭が抱える悩みや苦しみを感じることはなかったのだろうか。

白井さんや江連さんによると、どの家庭や子育てにも悩みがあるように、大変なことが無いわけではない。

中には、トラウマを抱えて家庭にやってくる子もいる。過去の恐怖や心の傷を、現在のことのように感じる子どももいて、人を挑発したり、関係性を破壊するようなことをしてしまうこともある(試し行動とも呼ばれてきた)。

ある里親さんのひとりは、その状況を「トラウマを抱えた子たちは、時にこちらの引き金をひかせようとする」と表現するそうだ。

Kaori Sasagawa

ただそれは、その子が傷を抱えているから起きること。

その里親さんは引き金をひかせないようにするための勉強やトレーニングを続けて、挑発的な行動を乗り越えられるようになったという。

家庭によって悩みはそれぞれあるが、どの家庭も、里子を迎えたこと自体を後悔している人たちはいないそうだ。

■「フォスター」はなぜ日本初なのか

里親や養子縁組を撮影することは、簡単ではない。子どもたちのプライバシーに配慮するのはもちろん、里親や子ども自身だけでなく、児童相談所や実親など色々な関係者に理解と許可が必要だからだ。

今回のプロジェクトでは、白井さんが長年お付き合いしているご家庭の中から写真撮影を打診して実現した。江連さんは、そのプロセスの複雑さに、これまで里親・養子縁組写真展がなかった理由がわかったという。

Kaori Sasagawa

厚生労働省は2017年夏に「就学前児童の里親委託率を7年で75%以上に引き上げ、特別養子縁組数を5年以内に2倍に伸ばす」という目標を掲げたが、まだまだ里親家庭が足りていない。

里親・ファミリーホームは、夫婦でやるものと思われがちだが、白井さんによると娘と母親で里親をしている家庭や、男性ふたりの施設職員と補助員で運営するファミリーホームもある。そのかたちは様々だ。

子どもと親の人生が交錯してできた、ひとつひとつの家族の物語。

今回の写真展ではそんな物語の中から、12家族を紹介する。「どの家族のストーリーも魅力的なので、ぜひ多くの人に見てほしい」と白井さん、江連さんは口を揃える。「地域のあり方やコミュニティのあり方を考える場にできたら嬉しい」という。

写真展は、3月5日に、横浜市のumiの家でスタートする。写真展に先立ち、3月5日には実際に撮影した家族を迎えて、「フォスター」という血縁や法律を超えて家族をつくっていくあり方を話し合うイベントも開く(詳細は下記)。

白井さん、江連さん、齋藤さんの3人は、これからも里親・養子縁組家庭の撮影を続け、子どもたちの成長も記録する予定だ。里親さんからの写真も、募集もしている。

日本初の写真展「フォスター」。色々な家族のかたちをうつした、里親・養子縁組がつくる家族のかたちを、これまでにないやり方で伝える機会になるだろう。

写真展フォスター お披露目&フォスター・トークイベント

【日時】2018年3月5日(月)14時〜19時(13時45分開場)

【会場】板橋区立グリーンホール1Fホール(東京都板橋区栄町36−1)

【参加費】2000円(交流会軽食つき)

【申込先】http://kokucheese.com/event/index/493803/

Facebook https://www.facebook.com/events/288227928347939/

家族のかたち」という言葉を聞いて、あなたの頭にを浮かぶのはどんな景色ですか?

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