海賊版サイトへのアクセス遮断、政府の「要請」に与党からも反対の声

自民党・橋本岳氏「世論に対して政府の非を訴えたいと思います」
衆議院予算委員会で質問する自民党の橋本岳氏=2月26日、国会内
衆議院予算委員会で質問する自民党の橋本岳氏=2月26日、国会内
時事通信

著作権無視で漫画を掲載する海賊版サイト。その対策として、海賊版サイトへのアクセスを遮断する「ブロッキング」が急浮上している。政府は週内にも、インターネット事業者(ISP)に「ブロッキング」を要請すると報じられている。

しかし、自民党衆議院議員の橋本岳氏は4月12日、この要請に「反対する」とブログで表明した。

橋本氏は海賊版サイト対策の必要性は認めつつも、「政府が特定Webサイトへの接続をしないことをISPに要請する」ことには問題が多いと指摘。「目的は手段を正当化しません」と警告を発した。

橋本氏は「何よりも、政府が特定内容の情報通信を根拠なく制限できると思うこと自体が大問題です」としたうえで、次のように続ける。

「憲法第21条2項には『検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これ侵してはならない』となっています。それを受けて電気通信事業法第3条には検閲の禁止、第4条には秘密の保護が事業者に対して義務化されています。これは憲法の裏打ちがありますから、一般の法令よりも重く受け止めなければなりません」

そして、もし政府がこうした規制をしたいなら、「新規立法を行う手順を踏むべきです」としている。

なお、この「ブロッキング」については、自民党内でも周知が徹底されているわけではないようだ。橋本氏は次のように記している。

「なお、自民党の情報通信関係の議員数名に確認しましたが、今日の段階で『え、そんな話知らないよ?』という反応が大半でした(ある1名のみご存知でした。『おとといISPから聞いて知ったんだよね』との由)。もちろんごく限られたサンプリングの範囲にすぎませんが、今の政府は、残念ながら与党に対しても本当に軽く考えておられるのだなあと嘆息を禁じえません(ちなみに僕は報道とFacebookで知りました)。与党対策ひとつを取ってみてもロクにできていない中で、新規立法の前途はきっと多難だろうなあと想像します。そんな状況で『新規立法を前提に緊急避難』などという理屈は、通用しません」

橋本氏は、ブロッキングに反対する情報法制研究所(JILIS)の緊急提言を、他の議員や、政府担当部署に届けるなどしたが、午後7時の時点でリアクションがなかったため、「本意ではありませんが、改めて意思を公にし、世論に対して政府の非を訴えたいと思います」と綴っている。

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