「水かけ姫」暴言でも批判殺到 大韓航空「ナッツ姫」妹のパワハラ疑惑、さらに広がる

日常的にパワハラをしていた疑惑が出ている。
2017年2月27日、韓国。
2017年2月27日、韓国。
Bloomberg via Getty Images

大韓航空のチョ・ヒョンミン専務が、パワハラをしたとの疑惑が報じられた。広告代理店の社員にコップを投げつけて飲料をかけたとされ、チョ・ヒョンミン専務はSNSで謝罪した。しかし、自社幹部への暴言の音声ファイルが公開され、波紋が広がった。広告代理店社員へのパワハラに関しては、警察が捜査に乗り出す事態にまで発展している。

ハンギョレによると、この出来事は、2018年3月末、大韓航空の広告制作を担当するA社との会議で起こったという。チョ・ヒョンミン専務は、A社職員が質問にきちんと答えられなかったことに腹を立てて、飲料をかけたとされる。

匿名コミュニティサイト「ブラインド」に投稿され、疑惑が浮上した。投稿には、チョ専務がガラス製の容器に入った飲料を投げたが、怒りが収まらず(職員に)水をかけたと綴られている。

■「事実無根」 「顔にかけていない」

大韓航空は、報道があった4月12日の午前には「事実無根」としていたが、午後には立場を変えた。

大韓航空の関係者によると「広告代理店との会議中に話し声が大きくなり、水が入ったコップを会議室の床に投げて、その水がはねたのは事実だ。しかし、(A社)職員の顔にかけたのは事実ではない」とし、「チョ専務は、会議に参加した広告代理店の職員に、個別でメッセージを送り、謝罪した」という。

A社は「広告を担当しているのは事実だが、業界の慣例上、広告主関連の話は外部にしないのが不文律に近い。大韓航空の担当チームもそのような被害がいつ、どのような形であったかは内部の関係者にも伝えられていない」としている。

渦中のチョ・ヒョンミン専務は同日、Facebookで謝罪した。

愚かで軽率な私の行動について心からお詫びいたします。どのような状況でもしてはならない行動で、これ以上言うことがありません。会議に出席した広告代理店の職員の方々に個別で謝罪はしましたが、すでに覆水盆に返らずでした。広告に対する愛着が、人間への配慮と尊重を上回ってはいけないのに、自身の感情をコントロールできないという大きな過ちをおかしました。誠に申し訳ございませんでした。

■過去の暴言に波紋

しかし疑惑は、飲料の投げつけにとどまらなかった。

4月14日、「OhmyNews」が音声データを公開し、波紋はさらに広がった。この音声ファイルには、チョ・ヒョンミン専務が、自社の幹部社員に「こいつなんなの?!」「気が狂いそう!!」など怒鳴り声をあげている様子が収められている。なかには、伏字になるような暴言も含まれている。

この音声ファイルの提供者は、OhmyNewsに対し「(チョ専務の暴言が)あまりにも日常的で、時期を明かさなければ、いつだかわからない」と語った。また「チョ専務の執務室がある階に勤務する職員皆に聞こえるほど大きな声で、職員たちに暴言を浴びせかけた」「非常に日常的なことだった」と繰り返し強調した。

4月19日には、新たなファイルをKBSが入手し、公開した。グループ会社「ジンエアー」の社員に同じように暴言を吐いている様子が録音されているという。

■警察の捜査にまで発展

韓国警察は、チョ・ヒョンミン専務を暴行の疑いで、現在捜査中だ。チョ・ヒョンミン専務側は、飲料をかけた容疑を否認しているが、「被害者が顔、メガネ、肩を拭いていた」との目撃情報を警察が把握したと伝えられている。

警察は大韓航空本社への家宅捜査も行い、専務を含めた職員の携帯電話を押収した。暴行疑惑と関連し、関係者への口裏合わせ、懐柔、脅迫などがなかったか確認するためだとしている。

チョ・ヒョンミン専務は、大韓航空を含めた財閥「韓進(ハンジン)グループ」会長の次女であり、"ナッツリターン"で知られるチョ・ヒョナ元副社長の妹だ。

チョ・ヒョナ元副社長は、2014年末、機内でのナッツの出し方に腹を立てて、搭乗機を引き返させたとされる。2017年12月21日、懲役10ヶ月、執行猶予2年の判決が下された。

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