日本ボクシング連盟を批判した村田諒太選手、ナチス強制収容所にまつわる文章をFacebookに投稿。連盟問題と関係?

名著「夜と霧」で登場する「カポー」(労働監視者)について言及している
村田諒太選手
村田諒太選手
時事通信社

日本ボクシング連盟による選手の助成金流用問題をめぐり、連盟幹部を批判したボクシングWBA(世界ボクシング協会)のミドル級世界チャンピオンで、ロンドンオリンピック(2012年)金メダリストの村田諒太選手(32)が8月2日、意味深な文章をFacebookに投稿した。

ナチス・ドイツの強制収容所の実体験をもとに書かれた名著「夜と霧」(ビクトール・フランクル著)に登場する労働監視者「カポー」に触れた内容だ。

カポーは、同じ収容者でありながらナチス側の命令でほかの収容者らを監視し、暴力を振るっていた悪名高い人たち。だが、村田選手は投稿で、彼らを一方的に批判することはできないとする見解を示した。

村田選手の真意は不明だが、1つ前の投稿で連盟批判を展開をしていることから、連盟の問題に対する新たなメッセージを発信している可能性もある。

村田選手はFacebookに次のように投稿した。

「夜と霧」に出てくる、カポー(同じ収容者でありながら、見張り役など、特別な権利、立場を与えられた収容者)が時にナチス親衛隊より酷い仕打ちをしてきたという話、そのカポーを裁くことが出来るかどうか

フランクルの言う、石を投げるなら、同じ状況に置かれて自分が同じようなことを本当にしなかっただろうかどうかと自問してみること

人を糾弾する前に必要なことだと考えています

世の中にはこのカポーが溢れていることを忘れてはいけないなと、改めて思う今日この頃です

「夜と霧」は、ナチスの強制収容所に入れられ、生還したユダヤ人でオーストリアで暮らしていた心理学者のフランクルが収容所での体験をもとに書いた。壮絶な体験談がつづられ、今なお世界中で読み継がれている。

ビクトール・フランクル
ビクトール・フランクル
Imagno via Getty Images

村田選手はこの前の投稿で連盟の助成金流出問題について言及していた。

村田選手は、リオデジャネイロオリンピック(2016年)に出場した成松大介選手への助成金の一部が、連盟の指示で別の選手2人に渡ったことを伝えるニュース記事を紹介し、「そろそろ潔く辞めましょう、悪しき古き人間達、もうそういう時代じゃありません」などと、暗に山根明会長ら連盟幹部を批判した。

今回の投稿では、村田選手が連盟に直接言及することはなかったが、投稿に対しては、連盟の問題と関連づけるコメントが並んだ。

連盟をめぐっては、役員や元選手ら333人が7月27日、試合用グローブなどをめぐる不透明な独占販売やパワハラ、2016年岩手国体での不正審判疑惑、山根氏による連盟の「私物化」ぶりなどを問題視した告発状を日本スポーツ振興センター(JSC)や日本オリンピック委員会(JOC)などに提出した。

山根氏は8月3日、日本テレビ系列の情報番組「スッキリ」に生出演。村田選手について「学生時代はいい選手だった」としつつも、「村田君は1人でメダルを取れる力はありません」と話した。

また、「悪しき古き人間達」という表現について、山根氏は「生意気だよ。あの選手はまだ現役のボクサー。今、言うべき話ではない」と反発した。

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