NFL選手らによる国歌斉唱時の起立拒否問題、今シーズンも再燃。キャパニックは「揺るぎない精神力」と称賛

トランプ大統領は視聴率低下をちらつかせて「脅す」

アメリカプロフットボールリーグ(NFL)の選手が人種差別に抗議するため、国歌斉唱時に起立を拒否していた問題で9月9日、2人の選手が地面に膝をついて起立を拒否した。

国歌斉唱時、膝をついて起立を拒否するマイアミ・ドルフィンズのケニー・スティルス(左)とアルバート・ウィルソンの2選手=9月9日、フロリダ州
国歌斉唱時、膝をついて起立を拒否するマイアミ・ドルフィンズのケニー・スティルス(左)とアルバート・ウィルソンの2選手=9月9日、フロリダ州
Icon Sportswire via Getty Images

起立拒否は2年前から始まったが、今シーズンでは初めて。ハフポストUS版などが伝えた。

選手らによる起立拒否の動きは2016年から続いている。NFLは6日に今シーズンが開幕したばかりだが、早くもこの問題が再燃した格好だ。

この日、起立を拒否したのはフロリダ州に本拠地を置くマイアミ・ドルフィンズのワイドレシーバー、ケニー・スティルスとアルバート・ウィルソンの2選手。

ホームスタジアムにテネシー・タイタンズを迎えた今シーズンの初戦で、国歌斉唱の際、2人はベンチの前で片膝をついて抗議の意思を示した。

ディフェンシブエンドのロバート・クイン選手は起立拒否はしなかったものの、拳を突き上げて抗議した。

国歌斉唱時、拳を突き上げたて抗議するマイアミ・ドルフィンズのロバート・クイン選手
国歌斉唱時、拳を突き上げたて抗議するマイアミ・ドルフィンズのロバート・クイン選手
Joel Auerbach via Getty Images

この問題は2016年、当時サンフランシスコ・49ersに所属していたコリン・キャパニック選手が始めたのがきっかけだ。

黒人や有色人種に対する差別的な事件がアメリカで相次いでいることに抗議する狙いで起立を拒否し続けた。

彼に触発されたほかの選手たちも次々と同調。NFL全体に拡大した。これに対し、トランプ大統領はTwitterで批判するなど、大きな社会問題に発展した。

NFLは5月、今シーズンから新ルールを導入することを決め、選手らに起立を義務づけるとともに違反すれば罰金を科すことにした。だが、選手会はこれに反発し、折り合うことなくシーズン入りした。

事態が収束を見せない中、スポーツ用品大手のNIKE(ナイキ)が、キャパニック氏をキャンペーン広告「Just Do It」に起用した。

Twitterなどではナイキの方針を支持する意見が相次いだ一方、ナイキ製の靴などを焼いたり、切り刻んだりする写真や動画が投稿されるなど、賛否が割れた。

キャパニック氏は2選手が起立を拒否したことについて、Twitterでこう述べた。

私の兄弟、ケニー・スティルスとアルバート・ウィルソンは、差別と戦うことで揺るぎない精神力を示し続けている!彼らは攻撃されたり、脅されたりしたときでさえ、引き下がったことはない。その勇気は世界を前進させる!

私たちの抗議の原動力になっているのは愛だ!

一方、トランプ大統領は脅しとも取れるような発言をTwitterに投稿。改めて選手らの起立を要求した。

ワオ、NFLの開幕試合のテレビ視聴率はずいぶん下がったな。昨年と比べると本当にひどい。視聴率は13%を下回った。この10年で最低だ。選手たちが国旗と国歌に対して誇りを持ち、それが放送されれば視聴率は回復するかもね?さもなけばもっと悪くなる!

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