新潮社の看板に「あのヘイト本、」Yonda?とラクガキ

「新潮45」を批判するのが目的か。「批評性の高いアート作品」と解釈する声も

東京都新宿区の新潮社本社の近くにある同社の看板が、9月23日ごろ、ラクガキされる事件があった。

9月24日未明、ゆーすけさん撮影
9月24日未明、ゆーすけさん撮影
Twitter/yoox5135

この看板は横型で、新潮文庫のPR用にパンダのマークと「Yonda?」というメッセージが書かれている。「Yonda?」のキャッチコピーの上に、「あのヘイト本、」という言葉が何者かによって書き加えられていた。24日午前10時までに、この看板の該当部分はブルーシートに覆われて見えなくなった。

ハフポスト日本版は24日、新潮社に電話をしたが繋がらなかった。

9月24日午前10時すぎに撮影。ブルーシートが被せられている。
9月24日午前10時すぎに撮影。ブルーシートが被せられている。
Twitter/yoox5135

「新潮45」を批判するのが目的か?

9月18日に発売された「新潮45」10月号では、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員を擁護するためにLGBT批判の特集記事を展開。文芸評論家・小川榮太郎氏が「LGBT様が論壇の大通りを歩いている風景は私には死ぬほどショックだ」などと執筆し、LGBT当事者や文芸関係者に反発が広がっていた。

新潮社の佐藤隆信社長は21日、「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられました」と声明を出す事態になった。

今回のラクガキはTwitterなどでネット上に拡散したが、「新潮45」を"ヘイト本"として批判する目的があったのではないかと見る人も多い。

「批評性の高いアート作品」と解釈する声も

9月24日未明に現地で看板を撮影したTwitterユーザーのゆーすけさんは、ハフポスト日本版の取材に以下のように答えた。

「写真をアップした他の人のツイートを見て、本当とは信じがたく実際に確かめて見たくて現場に行って見ました。実際に目の前で見て思ったのは『いたずらなのかアートなのか、やったのは誰なんだろうか』『いつからあったのだろうか』ということです。『新潮45』の一件ではとても怒っていたのですが、落書き&ブルーシートを目の当たりにして、無様で哀れみすら感じました」

一方、作家・演出家で早稲田大学教授の宮沢章夫さんは、この看板について「批評性の高いアート作品」と評した。24日、Twitterで以下のようにコメントしている

「僕を担当してくれる新潮社の編集者を僕は信頼している。彼らに多くのことを教えられた。その上で、この看板について言えば、批評性の高いアート作品として面い(原文ママ)と言わざるをえない」

なお、看板へのラクガキは器物損壊罪に当たる可能性がある。

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