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2019年01月03日 11時07分 JST | 更新 2019年01月03日 11時07分 JST

箱根駅伝 選手転倒に大迫傑さん「感動する場面ではない」 足を引きずる選手への「感動的実況」に賛否

スタート直後、大東大の新井康平選手が転倒、タスキをつなぐまで足を引きずるように走っていた

時事通信社
箱根駅伝

第95回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)の1日目、スタート直後に転倒し、けがをしながら走っていた大東文化大の新井康平選手(4年)への実況が「感動的だった」ことへの賛否が起きている。

新井選手は苦しそうな表情をにじませながら、時折足を引きずったり蛇行するように走りながら、次の走者に22位でたすきをつないだ

叫ぶ実況、「朝から感動をありがとう」「泣いた」とツイート続出

タスキを渡す中継シーンに差し掛かるときには、テレビ実況解説のアナウンサーも力を込めて「4年生!最後の箱根駅伝。意地だ、この気持ちだ!気持ちで走ってきた21キロ!」と盛り上がっていった。

鶴見中継所に待つ次走者の様子は「その目にも涙が浮かんでいるか」と伝え「見事に大東文化大学、タスキを繋ぎきりました!」と叫んだ

時事通信社
往路のスタートを切る大東大の第1走者・新井康平(中央)。この後に転倒のアクシデント=1月2日、東京・大手町

この状況に、Twitterなどを中心に「朝から感動をありがとう」「親子で泣いた」「執念の襷をつないだ」「魂のたすきリレーだ」など心を動かされたという人が続出。

一方で、「棄権させないのか」という意見や、2018年10月のプリンセス駅伝で骨折しながら「四つんばい」でタスキを繋いだ選手の件に触れて「学んでいない」という人もいた。

大迫傑「感動する場面ではない」と問題提起

スポーツのなかでも、特にアマチュアの甲子園や駅伝などの学生スポーツなどではこういった感動演出や、美談を持ち出す解説が多くなされてきた。

こうした演出や、感動が巻き起こっている状況について、マラソンの日本記録保持者である大迫傑さん(ナイキ)がTwitterで言及。

選手の走りをねぎらいつつ「捻挫は注意しないと別な故障で繰り返したりで時間が掛かるからしっかり治して欲しい」と気にかけ、そのうえで実況解説について「心配する場面ではあるけど、感動する場面ではない」とつづった。

そして「感動的実況を良しとしてしまうと、回り回って選手の判断を鈍らせてしまう」と分析。

自分に置き換えて「どんな酷い怪我であっても単純にやめにくい」「選手はどうやったって走りたいはず、だけどそれを冷静に判断できない環境が今」と訴えた。

また、この「感動」についても心を揺さぶる演出の結果ではないかと続けた。

こうしたコメントに「感動してはダメなのですか」「エンターテイメントなんだから」「メディアは、感動を伝えるのが仕事」という意見も出た。

これに対し大迫さんは「感動=選手の健康と成長でない」と説明した。

監督、棄権せず「良かったのか分からない」

新井選手の左足のケガは、骨に異常はないというものの、詳しい状況はまだ分かっていない。

大東文化大の奈良修監督は棄権せずに走り終えたことに「棄権しなかったのが良かったのか分からない」と答えている。