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2019年01月15日 10時25分 JST | 更新 2019年01月16日 09時34分 JST

なぜ?中国ネットで「日本製」名乗るトイレの便座メーカーが出現 (動画)

支離滅裂な日本語や宣伝動画で、高品質をアピール。なぜ「便座」なのか?

天猫(Tmall)に並んだ「日本製」便座

中国のショッピングサイトに、「日本製」を名乗る便座メーカーが複数、出現している。日本製ならでの高品質を謳い文句に宣伝活動を繰り広げており、信頼性を高めるためか日本語の記述もある。しかし、そのほとんどが意味の通りづらい不自然なものだ。

なぜ「便座」なのか?専門家は、数年前に始まった中国政府のある政策が背景にある可能性を指摘している。

■滅茶苦茶な日本語で「高品質アピール」

中国のBtoCサイト、天猫(Tmall)。日本製の便座を探してみると、正規メーカーに混じって見慣れない名前の会社名が並ぶ。その1つ「東日菱(英語名:DOEOE)」の公式サイトを覗いてみると、中国語で「日本の最先端スマート技術を結集した」などといった宣伝文句が並んでいた。

一方で、日本語版のページに飛んでみると、「知名なプランドです」とか「品がよくて値段の安い製品とここからのもてなしを提供」などと不自然な日本語が溢れていた。

東日菱のホームページより

■宣伝動画が話題に

別の便座メーカー「津上」も同様に日本製とする便器を出品している。この会社も自らを「日本のトップブランド 1番の技術」と標榜するなど、高品質アピールに余念がない。

YouTube上には「津上」が製作したと見られる日本語の宣伝動画も公開されている。内容は、男性が便座を撫でながら「君から離れられなくなったんだ」と話したり、視聴者に「私たち一般庶民に福音をもたらしてくれたんだ」などと語りかけたりするもので、話される日本語はぎこちなく、合成された音声のようにも聞こえる。

日本の便器メーカーなどで作る「日本レストルーム工業会」はハフポスト日本版の取材に対し、これらの企業は会員ではないとした上で、「偽の日本メーカーか確認していないためコメントできない」と話している。

■なぜ「便座」?背景には中国政府の政策も

粉ミルクや家電製品など、かつて「日本製」は中国人たちの間で信頼の証となり、2015年ごろ発生した訪日観光客の「爆買い」の原因の一つとなった。しかし、なぜ今「便座」なのか。

日本と中国のトイレ事情に詳しい、NPO法人日本トイレ研究所の加藤篤代表理事は、習近平政権が2015年から実施している「トイレ革命」が背景にあると推測する。

この政策は、当時地方に多かった個室や仕切りがない「ニーハオトイレ」や不衛生なトイレなどを改善し、全国的に衛生的なトイレや習慣を導入しようというものだ。政策が始まってから4年近く。加藤代表は、「革命を機にトイレが数多く整備されてから数年が経ち、温水洗浄便座や清潔さを保つ性能、壊れにくさなどの面で日本製品への品質の高さが認知されてきた」と指摘する。

その上で、日本製を謳う便座が売られている理由について「日本製品への評価が浸透し、良いもの=日本製という宣伝の仕方を取っているのではないか」と推測している。

HuffPost Japan
日本トイレ研究所の加藤篤代表理事

■正規メーカーへの影響は?

天猫(Tmall)などのサイトをみると、すでに購入された実績のある商品も少なくない。中国市場に進出している正規メーカーへの影響はあるのだろうか。

加藤代表は、売り上げへの影響はまだ分からないとした一方で、「本当に日本製で無いのならば、使えば使うほど品質面で差が出てくる。すぐに(日本製でないと)わかるはずだ」と指摘する。

その上で「いずれにしろ、トイレを清潔に保つには、品質・清掃・マナーの3つが必要になる。それらが揃った日本ブランドを提案できれば一番良い」と話している。