10年間ひとりぼっちだったカエルのロミオ、パートナーが見つかる。世界一孤独な絶滅危惧種

恋愛・結婚を手掛ける大手マッチングサイトにも登録したロミオ。研究チームの必死の努力が実りました
ひとりぼっちで暮らしてきた水棲カエルのロミオ
ひとりぼっちで暮らしてきた水棲カエルのロミオ
PA Science

シェイクスピアもびっくりな奇跡の恋愛劇になるかもしれない。

「世界一孤独なカエル」として知られるボリビアのオスのカエル・ロミオに、念願のパートナーができた。お相手のカエルは、ジュリエットと呼ばれている。

1月15日に、アメリカを拠点とする環境NGOグローバル・ワイルドライフ・コンサベーションなどが発表した。

ロミオは「Sehuencas water frog」といわれる種類のカエル。この種は1998年に発見され、2004年に国際自然保護連合に絶滅危惧種として登録された。

最後の生き残りと思われていたロミオは、2008年に発見されてから10年間、ボリビアの自然史博物館でずっとひとりぼっちで過ごしてきた。生きている間に、パートナーが見つかる可能性は極めて低かった。

メスの同種カエルどころか、オスの同種すら見つからなかった。この種のカエルの寿命は15年ほど。

ロミオが年を重ねるごとに、テレサ・カマーチョ・バダニさん率いる研究チームの焦りもつのっていった。バダニさんは「ジュリエットを見つけるために、とてつもないプレッシャーを感じていました」という

2018年には、恋愛・結婚の大手マッチングサイトMatch.comにロミオのプロフィールを掲載。研究費用にあてるための寄付を呼び掛けた。

ロミオは恋愛や結婚の大手マッチングサイトに登録され、お相手を見つけるための研究費用の寄付を呼び掛けた
ロミオは恋愛や結婚の大手マッチングサイトに登録され、お相手を見つけるための研究費用の寄付を呼び掛けた
Match.comのロミオのページより

そして、チームはこのほどロミオを発見した生息地域で、繁殖年齢に達していない3匹のオスと1匹のメス、そして繁殖年齢のメス1匹を発見した。

「カエルが池に入って水が跳ね、私は急いで池に入りました。池の底に手を入れ、何とかカエルを捕まえることができました」とバダニさんは振り返った。そして「手を引き抜き、そのカエルのオレンジ色の腹を見て、私は待望のカエルを見つけることができたのだと気が付いた」と語った

チームは繁殖させて数を増やし、このカエルたちを野生に戻すことを目的にしている。

のんびりロミオと元気なジュリエット

BBCなどによると、ロミオはおっとりのんびりした穏やかな性格で、ちょっとぽっちゃりでシャイなカエルという。

一方でジュリエットは、元気でよく動き回り、たくさん食べてたくさん泳ぐカエル。時々、水槽から逃げようとするのだそうだ。

新たに発見された5匹は、カエルにとって致命的となる感染症の「カエルツボカビ症」に感染していないかなどの検査を終えたのち、ロミオと合流するという。カエルツボカビ症になると、カビがカエルの皮膚を覆ってしまい、皮膚呼吸が出来ずに死に至る。一度感染すると、助かることはない。

生息地の減少や環境汚染で激減したカエル

この種のカエルは、1998年に発見された時点で、個体数は少なかったという。

BBCによると、ボリビアでは生息地の減少や水質汚染、気候変動などで22%のカエルが絶滅の危機に瀕している。

また、カエルツボカビ症が猛威をふるった影響により、世界中で野生のカエルの生息数は激減している。

注目記事