ベトナム生活情報サイトを運営されていますが、「面白い」という切り口で発信をされている理由はなんでしょうか?
私は、その国の「面白さ」を切り取ってエンターテイメントとして発信することができれば、海外に行くハードルがもっと低くなると思っています。
それは、「これからは海外でも生きていけないと、国際社会に取り残される」という危機感や、「海外インターンをして就職活動でアピールしましょう」という理由とは全く異なり、エンターテイメントとして純粋に海外に対して興味を持ってもらえるようにしたいから。
だから、『べとまる』を特に読んでもらいたい読者は日本にいる方です。
今はベトナムだけですが、今後は他の国での『べとまる』のようなサイトの展開もしていきたい。
私自身が「創作」にこだわりを持つようになったきっかけは、小学生の頃に図画工作の授業で描いた絵が、階段の踊り場にある掲示板に貼り出されていて、クラスの女子が「うまいね」と言ってくれたこと。それをたまたま通りがけに見ていたんです。
今でもその時のことはよく覚えていて、自分が作ったもので人に褒められたいというのが私の原体験ですね。
「面白さ」へのこだわりは...なんでしょう、ちょっと暗い話ですが、いじめに遭ってたことがきっかけかな。
悲しくて机に突っ伏して泣いてると数少ない友人が心配してくれるんです、でもそこで笑いを取ると「心配して損した」と思われるんですね。あ、いい話になっちゃいました。
ベトナム就職までの道のりについて教えてください。
一言で言うと、なりゆきです。
都内で5年間SEとして働いた後、初めての海外旅行で訪れたベトナムで一緒にご飯を食べた現地に住む日本人に就職を勧められ、そのまま働くことを決意しました。
ただ、「ベトナムを選んだ理由」はなくとも、「日本を選ばない理由」は明確にありました。
その理由は「日本国内で普通の転職活動をしていては一生自分がやりたいことをできない」と思ったから。
就職した会社はオフショアのWeb制作会社だったのですが、ベトナム人市場に向けて新規事業を始めるという仕事内容に魅力を感じて入社しました。先に話した原体験から、ずっとゲームプランナーやCMプランナーなどのいわゆるクリエイターと呼ばれる仕事に就きたかったんですよ。だから、「ゼロから」ということに関心があった。
しかし、当初考えていた仕事ができず、いろいろと葛藤はありましたが8ヶ月で退社。2ヶ月半後には『べとまる』を立ち上げました。
いつでもバイクに跳ねられそうだとか、大人が小中学生みたいにくすぐりあってキャッキャとしているだとか、日本の非日常であるベトナムの日常をWebで発信したいと思っていたので、退社後すぐに取り掛かりました。
ネルソンさんの活動の目的とは?
私の活動の目的は3つあって、それが少しでも達成された時にやり甲斐を感じます。
ひとつめは「めちゃくちゃ面白いものをつくること」。まだまだだとは分かっているのですが、それでも「面白い」と言われると、生きてて良かったと感じますね。これは幼少の頃からずっと持っている、ほぼ先天的な性格だと思います。
ふたつめは「日本人の海外移住を増やすこと」。「べとまる」がきっかけで海外へ出たという人の話を聞くと、とても嬉しい。
決して海外に限るわけではないですが、異なる文化や風習に触れることはその人の価値観を広げることだと信じています。
3つめは、「ベトナムに恩返しをすること」。ベトナム人の方に喜んでいただけたり、ベトナムに関心を持ってもらえるようなサイトを作っていきたいですね。
「クリエイティブなことで飯を食っていく」。
そういった世界に飛び込みたくてがむしゃらに動いて、でも叶わなくて、でもあきらめきれなくて、そういったことを繰り返している内に、何故か私はベトナムにたどり着き、自分にとって正解だと思える生き方をしています。
苦労は絶えないですが、ベトナムには感謝してもしきれません。
今は自分のやりたいことど真ん中のことをして生きていると思います。
今後取り組みたいことは、日本人以外の人たちや若い世代にアプローチしていくために動画配信も考えています。
引き続きベトナムの面白さを切り取って、発信し続けたいですね。
ネルソン水嶋さんの一日のスケジュール
06:30 起床。メールチェック。
07:00 散歩。
08:30 記事執筆or取材orべとまる以外の活動(イベント企画や外部媒体への寄稿など)。
プロフィール
ネルソン水嶋(Nelson Mizushima)
『べとまる』編集長
楽しいベトナム生活レポートサイト・べとまるの発起人&運営者。よく書いている人。 大阪出身、図画工作が好きな少年時代を過ごし、ゲームプランナーになれると勘違いして理系の大学へ進む。 その間に広告クリエイターを志すがなれず、大学卒業後に東京で5年間SEとして勤務後、就職を契機に2011年11月に来越。
翌年5月からはじめたべとまるは「海外のおもしろサイト」として知られ、Webコンテンツ関連の受賞経験もある。 livedoorブログ奨学生選出/デイリーポータルZ新人賞最優秀賞/Yahoo!スマホガイド・スマホの川流れ大賞
取材・ライター
ABROADERS 代表 濱田 真里/Mari Hamada
海外で働く日本人に特化した取材・インタビューサイトの運営を4年間以上続けている。その経験から、もっと若い人たちに海外に興味を持って一歩を踏み出してもらうためには、現地のワクワクする情報が必要だ!と感じて『週刊アブローダーズ』を立ち上げる。好きな国はマレーシアとカンボジア。
週刊ABROADERSは、アジアで働きたい日本人のためのリアル情報サイトです。海外でいつか働いてみたいけど、現地の暮らしは一体どうなるのだろう?」という疑問に対し、現地情報や住んでいる人の声を発信します。そのことによって、アジアで働きたい日本人の背中を押し、「アジアで働く」という生き方の選択肢を増やすことを目指しています。
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