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2015年10月10日 15時25分 JST | 更新 2016年10月09日 18時12分 JST

アフリカでまん延するLGBTI差別~制度だけでは変えられない憎悪の心~

国際レズビアン・ゲイ協会(ILGA)によれば、80の国と地域が同性愛的行為を犯罪とし、罰金や懲役、終身刑などの刑罰を科している。

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックスの頭文字をとった「LGBTI」や「性的マイノリティ」という言葉。最近では、日本でもよく見聞きするようになったのではないだろうか。「性」の枠が、感じ方が、多数派が当たり前と考えている"常識"と違う。ただそれだけで、差別され、理不尽な暴力を受けている人たちが、今も、世界中に多くいる。

今年5月、アイルランドが国民投票によって同性婚を認め、翌月には米国の連邦裁判所が同性カップルの結婚を合憲だとする判決を下した。ここ日本でも、3月に東京都渋谷区でパートナーシップ条例が発効した。こうした動きが注目を集める中、決して忘れてはいけない人たちがいる。

■□■ 愛することを、犯罪とする国々 ■□■

国際レズビアン・ゲイ協会(ILGA)によれば、2015年5月現在、80の国と地域が同性愛的行為を犯罪とし、罰金や懲役、終身刑などの刑罰を科している。うち、8の国と地域では、なんと死刑に処せられる可能性もある。

アフリカ大陸では、半数以上の国が反同性愛法や同性同士の性交渉を禁じるソドミー法を定めている。今年9月にも、チュニジアで、一人の男子学生がソドミー法に違反したとして、3年間の懲役を言い渡された。彼はもともと殺人に関与したとして逮捕されていた。殺人の容疑は晴れたが、取調べ中で被害者と性的関係をもっていたことを供述したために、ソドミー法違反で起訴されてしまったのだ。

こうした法によって影響を受けているのはLGBTIの人たちだけでない。見た目でLGBTIと判断された人たち、当事者の家族、さらにはLGBTIを支援する市民団体や活動家たちだ。警察は、着ている服装、歩き方、ともに行動する友人や仲間などで判断して同性愛を取り締まり、支援者たちを脅迫、監視、逮捕している。

2014年7月、ソドミー法に問われていたザンビアの青年2人に、裁判所が無罪を言い渡した。そもそも2人は同性愛者であることを否定していた。青年たちは判決がでるまで1年以上も拘束されていた。しかも、逮捕時、同性愛行為を調べるため、信頼性がない手法とされる肛門検査を強制的に受けさせられた。

■□■ 人びとの間にまん延する「差別」の心 ■□■

4年前、南アフリカで有名な活動家ノクソロ・ノグワザさんが命を奪われた。加害者たちは、彼女がレズビアンであることを理由に、ノクソロさんを強かんし、瓶の破片や石で痛めつけ、繰り返し殴って殺したあげく、遺体を排水溝に捨てた。

差別的な法律がなくとも、根強い社会の偏見や同性愛嫌悪の風潮がLGBTIの人びとを危険にさらしている。このことが顕著に現れているのが、南アフリカだ。南アフリカは、憲法で性的指向に基づく差別を禁じ、法律では同性婚を認め、同性カップルが養子をとり育てることもできる。

しかし、LGBTIの人たちにとって、暮らしやすい場所とは決して言えない。田舎の街中を歩いていて、LGBTIの人が侮辱的な言葉を浴びさせられるのは日常茶飯事だ。暴力は言葉だけにとどまらない。南アフリカはLGBTIの人びとに対する殺人、強かん率が最も高い国の一つだ。特にレズビアンの女性は、「矯正レイプ」(性的指向や性自認を「治療」しようとして行われる強かん)の標的となっている。

国は、この問題に真剣に取り組むどころか、助長させている。警察は、事件を捜査せず、被害者たちの話すらまともに聞かない。指導者は、堂々と差別発言を繰り返している。ジェイコブ・ズマ大統領は、「同性愛者が近くにいたら、殴り倒す」とさえ発言している。

性的指向や性自認を含め、あらゆる理由に基づく差別、暴力をなくすには、法律を変えるだけでは不十分だ。法律がきちんと実施されるよう国が率先して動く必要がある。そして、私たちの意識や姿勢も、変わらなければならない。

(アムネスティ・インターナショナル日本)

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こうした差別で苦しんでいるLGBTIの人たちの権利を守るために、世界中には、自らの命を危険にさらしながら立ち上がる人たちがいます。そうした活動家の一人、南アフリカのファドツァイ・ミュパルツァさんをゲストにお招きし、全国7カ所で講演会を行っています。お近くの会場に、ぜひ、足をお運びください。

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