「アンチ・エイジング」やめます。女性は年齢を重ねても美しいから。女性誌が宣言

「人生にはピークがあってそこを過ぎれば後は転がり落ちるだけという考え方を止めたい」編集長はそう語る。
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加齢は誰もが経験する自然な変化。しかし多くの社会では「若さを保つ秘訣」「老化は敵」といった、加齢は良くないという考えが浸透している。

アメリカの女性雑誌「Allure(アルーア)」は、この「若い=美しい、加齢=下り坂」というトレンドに終止符を打つために、「アンチ・エイジング」という言葉を使うのを止めると宣言した。

アルーア9月号の表紙。「アンチ・エイジングの終わり」と書かれている。

同雑誌のミシェル・リー編集長は、アンチ・エイジングという言葉に別れを告げた背景をこう説明する。

「加齢についての考え方を変えるための最初の一歩は、加齢についての語り方を変えることです」

「そのために、私たちは今月号から『アンチ・エイジング』という言葉を使わないことに決めました」

「私たちは、『加齢とは、闘わなければいけないもの』というメッセージを密かに助長しています。抗不安薬やアンチウイルス・ソフトウェアや、防カビスプレーのように」

「言葉には力があります。たとえば40歳の女性がいたとしましょう。私たちはついこう言ってしまうのではないでしょうか。『彼女とても素敵だね。40歳には見えない』『彼女、中年の女性にしてはとても美しいね』。これからは、こう言ってみてはどうでしょう。『彼女、とても美しくて魅力的な人だね』」

リー氏は「年齢を重ねるということは、新しい日を迎え人生を楽しむ機会が増えるチャンスが増えるということ」と言いながらも、加齢が必ずしも素晴らしいことばかりでもないとも認めている。

ただ、若くなければ美しくない、人生にはピークがあってそこを過ぎれば後は転がり落ちるだけという考え方を止めたい、だからアンチ・エイジングという言葉は使わないと訴える。

脱アンチ・エイジングを宣言した9月号でアルーアがインタビューしたのは、アカデミー賞やエミー賞などを授賞し、数々の功績を残してきた女優のヘレン・ミレンだ。

現在72歳のミレン。インタビューではフェミニストや女優としての自身の生き方だけでなく、アンチ・エイジングについての自分の考えについて語っている。

「私は(ロレアルのキャンペーンモデルに起用された時)、アンチ・エイジングについてこう言ったんです。『私たちは歳をとります。だけど年齢に関係なく、毎日素敵な人間として、素晴らしい人生を送りたい』」

InstagramやTwitterなどのソーシャルメディアには、アルーアの脱アンチ宣言に賛同するコメントが投稿されている。

Thank you. Most of us have long been sick of this nonsense. And Mirren is 💯 and 🔥 and gorgeous and intelligent and talented and, and, and...

— (((Maggie))) (@maggieogs) 2017年8月14日

「私たち、アンチ・エイジングという馬鹿げた考えにつくづく嫌気がさしている。ミレンはパーフェクトでカッコ良くてゴージャスで知的で才能にあふれている」

Jesus! It's so silly for an old woman to be so desperate. Embarrassing.

— PCE (@REDHOTTEXAS) 2017年8月15日

「年齢を重ねた女性が、絶望的な気持ちにならなきゃいけないなんておかしい。恥ずかしいことだ」

「若くなければ美しくない」という考え方は、私たちにネガティブな気持ちにさせたり、若くなければいけないというプレッシャーを与えたりしかねない。

「痩せていなければ美しくない」という考えに対しては、どんな体型も美しいというメッセージを伝える「ボディ・ポジティブ」というムーヴメントが起きてきた。

加齢についても、美しさと年齢は関係ないと伝える「エイジ・ポジティブ」といういう考え方が広がるのだろうか。アルーアが今回踏み出した一歩がどうなるのか、今後が注目だ。

▼しわを愛する女性たち(画像集)▼

しわを愛する女性たち
ロズ・ハルウェイル・ソコロフ(90歳)(01 of14)
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「年齢で自分が決まったりはしません。90歳になって、一番素晴らしいのは、自分が歳を取っているとは感じないことです」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
メリー・アン・ オランド(59歳)(02 of14)
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「鏡をのぞくと、昔と変わらない小さな女の子のままの自分が、目に映ります」「乳がんになったあとは、1年1年を大切に生きています。90代まで人生を楽しみたいと思っています」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
ジュリース・ベイスデン(62歳)(03 of14)
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「歳を重ねるのは素晴らしいこと。白髪やシワをみつけて落ち込む人もいるけれど、私は違います。自分は若いと感じています」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
アイリス・クラスノウ(61歳) (04 of14)
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「私が知っている幸せな人たちは、情熱と目的を持っている人たちで、愛する人たちに囲まれて生きています。『高校時代と体重が変わらなくて幸せ』という人は、ほとんど知りません」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
キャロル・パリス(83歳)(05 of14)
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「顔は、その人の内側を表します。しわ取りをしようと考えたことはありません。そんなことをしたら、顔は生き様を失ってしまうでしょう」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
マリア・レオナルド・オルセン(52歳)(06 of14)
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「50歳になった時、50の新しいことに挑戦しました。初めて、本当の人生を生きているように感じました」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
レスリー・ハンドラー(56歳)(07 of14)
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「新しいシワは、全ての困難を乗り越えて幸せになったことの証です。だから新しいシワを発見しても、がっかりしたりはしません」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
レバダ・ナオン(57歳)(08 of14)
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「シワだらけのおばあさんになるのが楽しみです。アメリカではネガティブに受け止められがちだけれど、アフリカでは更年期に入った女性は尊敬されます」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
デボラ・ガイネス(55歳)(09 of14)
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「美の基準は、若い時につくられます。私の祖母は、太っていて、白髪で、シワがたくさんありました。そんな彼女は、愛を形にしたような人でした。95歳で亡くなりましたが、彼女は私が知る最も美しい人です」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
アン R. (59歳)(10 of14)
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「私にとってシワは、本当の自分とは何かを教えてくれる、大切なものです。シワは恥ずかしいものではありません。むしろ、これまで経験してきた様々な出来事の結果です」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
バーブ・ラビン(67歳)(11 of14)
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「一番お気に入りのシワは、目の周りのシワです。笑顔と、人生を楽しんだことと、悲しみの結果だから」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
リサ・ヒルシュ(66歳)(12 of14)
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「シワがなければ、今の私はいないでしょう。美しく歳をとるというのは、ある意味特権だと思います」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
バーバラ・ハンナ・グラファーマン(59歳)(13 of14)
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「歳をとるのは止められないけれど、どうやって生きるのかを決めることはできます。シワは私の一部です。私の努力を表しています。また、美しく歳を重ね、いつでも活動的でいるためにの努力は欠かしません」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)
サンドラ・ラモゲース(59歳)(14 of14)
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「約20年前、ある女性が私にこう言いました『あなたはとても美しいから、歳を取って醜くなったら、耐えられないんじゃないかしら』。私はこう返事をしました。『私はただ歳を取るだけで、醜くなったりしません』。私たちは、歳を取るのは醜くなることだ、と思っていますがそうではありません。美しいことなのです」 (credit:Damon Dahlen/Huffington Post)

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