47年前の集合写真にたったひとり名前のない女性。「誰?」Twitterで呼びかけると…

半世紀を経て、ある女性にようやく光が当たった
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これは47年前の撮影された写真。男性ばかりの中に、たった1人の黒人女性がうつっている。

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アンデルセンさんTwitterより
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アンデルセンさんTwitterより
この女性は誰?

この女性は一体誰なのか。探し始めたのは、アメリカ・ユタ州に住む、アーティストのキャンディス・ジーン・アンデルセンさんだ。

この写真はアンデルセンさんが、絵本を書くために取り寄せた資料に含まれていた、とカナダのニュースサイト「CTVニュース」は伝える。

この写真のある点に、アンデルセンさんは注目した。これは、1971年に開かれた国際クジラ生態会議の写真で、参加者38人のうち37人が男性だったが、1人だけ若い黒人の女性がうつっていた。

アンデルセンさんによると、資料に男性参加者の名前は書かれていたが、その女性の名前だけがなかった。この謎の女性について知るため、アンデルセンさんはTwitterで情報提供を呼びかけた。

「Twitterの皆さん、私にはあるミッションがあります。

この写真にうつっている女性は、1971年の国際クジラ生態会議の参加者です。

彼女はただひとり女性であり、ただひとり "名前は不明"と書かれています。他の男性は全員名前が書かれています。彼女について、なにか知っていたら教えてください」

1971年の国際クジラ生態会議は、バージニア州のシェナンドー国立公園で開かれ、この分野で第一人者の科学者と自然保護活動家が集まった、とアメリカ内務省の資料に書かれている。

アンデルセンさんの元には、いくつか情報が集まったが、その中に謎の女性だと思える人物はいなかった。ただ、スミソニアン協会で管理者として働いていたという情報があった。

3月11日、ひとつの有力情報が手に入った。会議の出席者だった男性とコンタクトがとれたのだ。

「ロバート(ボブ)・ブロウネルさんから連絡がありました。会議に出席した人物で、写真の後方真ん中にうつっています。

ブロウネルさんによれば、謎の女性は管理の仕事をしていた人かもしれません。ブロウネルさんは女性について『1970年代始めに、アメリカ魚類野生生物局のクライド・ジョーンズの下で働いていた』と言っています」

アンデルセンさんは、クライド・ジョーンズさんに連絡をとろうとしたが、残念ながらすでに亡くなっていた。しかしここで、別の助けが現れた。スミソニアンの研究員ディー・アレンさんが、知り合いに女性について聞いてくれたのだ。

アンデルセンさんはTwitterにこう綴る。

「アレンさんが、ドン・ウィルソンさん(スミソニアンのほ乳類研究名誉研究員)に連絡をとってくれました。ドンはボブの意見に同意して『彼女の名前はシェイラ・ジョーンズ』と教えてくれました。旧姓はマイナーだそうです。魚類野生生物局で、哺乳類収集の技術者として働いていたと教えてくました」

3月12日、さらなる進展があった。スミソニアンで働く女性が、アーカイブセクションの担当者に「シェイラ・マイナー 1972年〜1975年」を含む資料を探すように手配してくれたのだ。

そしてみつかった資料から、謎の女性が実際に探していたシェイラさんだと確認できた。その上、アンデルセンさんはシェイラさんと直接連絡もとれた。Twitterで「謎の女性は、シェイラさんでした。本人と連絡もとれたので間違いありません!」とアンダーソンさんは報告した。

その後、シェイラさんの仕事が単なる"管理者"でないとわかった。管理業務はシェイラさんの仕事の一部で、彼女はスミソニアン大学生物リサーチ技術者や、スミソニアン女性委員、アメリカ哺乳類協会のメンバーもつとめた。

写真が撮影された時は、政府機関で働いていて、上司のクライド・ジョーンズが会議に連れていったという。シェイラさんは「いくつかの政府機関で仕事し、35年働いて引退しました。仕事の全てが楽しかった」とアンダーソンさんに伝えた

映画『ドリーム』(1960年代にNASAで勤務した、3人の黒人女性の実話を描いた)の原作者マーゴット・リー・シェッタリーさんは、「シェイラさんのような、歴史の中で評価されてこなかった人に光を当てることは大切です。科学や技術の歴史の中で、こういったパイプラインの水漏れは今でも存在します」とニューヨークタイムズに語る。

シェイラさんは、ニューヨークタイムズに現在のフルネームは「シェイラ・マイナー・ハフ」さんだと明かした。71歳で5人の孫がいるという。

写真に自分の名前だけ書かれていないことについて、シェイラさんは気にしていないと語った。「地球を守るために何かする時、私の名前を知る必要なんてないでしょう?」