広げるとベビーベッドに早変わりするなど災害時でも赤ちゃんと快適に過ごすためのアイデアが詰まった「防災マザーズバッグ」を作りたい――。プロダクトデザイナーであり、防災士の資格も持つ三島大世さん(26)は、製品化に向けての資金調達のため、2月26日までクラウドファンディングを実施している。
「東日本大震災と熊本地震の時、避難所では赤ちゃん用の用品、おむつとかミルクとかが不足しているというニュースが流れたのを見たり聞いたりしました。実際どうなのかと自分でもリサーチしたら、自治体の備蓄としておむつとかミルクとか、十分とは言えない現状と、赤ちゃんのための防災バッグ自体がそんなにないということが分かりました。デザイナーとして何かできないかと思いまして、自主制作の一環で始めたのがきっかけです」
三島さんは、インターネットで避難所の状況を調べた上、熊本地震の際には現地でもリサーチを行ったという。
「熊本へは別の案件で行ったんですけど、被災者の方々から話を聞く機会があったので、赤ちゃんのことを聞いてみたところ、実際、困っていたという声や、足りなくて困ったものなどを聞くことができました」
自然災害から安全に避難し、避難所で赤ちゃんに快適に過ごしてもらうために、三島さんが開発した防災マザーズバッグには以下の4つの特長がある。
まず1つ目は広げるとベビーベッドに変形すること。2つ目は軽量で防水性、耐火性に優れていること。3つ目は、手持ち型、ショルダーバッグ型、バックパック型というスリーウェイの持ち方ができること。そして4つ目は、災害時に赤ちゃんが快適に過ごすための必需品である備蓄水、ブランケット、ミルク、哺乳瓶、おしり拭きなどを小型で耐久性のある防災ボックスに入れて収納できること。
安全性、機能性を追求しながら、プロダクトデザイナーである三島さんは、やはりデザインにもこだわった。
「もとからある防災バッグというもの自体が、デザイン性が良くないものが多いので、デザイナーとしては、そこは頑張りたかった。防災バッグって、持っていてもみなさん押し入れとかに入れっぱなしにしていることが多いのが現状です。それは普段使わないっていうこともあるんですけど、デザインがよくないのも理由の1つだと思います。だから玄関とかリビングとかに置いてもらえるようなデザインにしたかった」
三島さんがデザインした防災マザーズバッグは、色は白を基調にしている。
「白って、防災バッグではあんまりないんですよね。もちろんまだ試作品、製品化する前の段階なので、もっとユーザーさんに使ってもらってブラッシュアップしていかないといけないです。実際、本当のママさんがどんなデザインを好むのか、声を聞いてもっといいデザインにしていきたいと思いますね」
防災マザーズバッグは災害の時に使うもの。それでも三島さんは、普段使いもできるぐらいのデザインにしたいと話す。
「例えばピクニックへ行った時などにも使ってもらえるように。防災ボックスの代わりに、お弁当とかを詰めてもらって、赤ちゃんが寝る時はベッドにして寝てもらうことができます。普段からママさんが使っていれば、いざという時にも使い慣れていると思いますし」
もちろん、最も意識しなければいけないのは安全性だ。そのために三島さんは、国内生産にこだわっている。しかしその分、コストが高くなってしまうところが現在の課題だ。
「安全のためにすべて国内で生産と考えているのですが、そうするとやっぱりどうしてもコストが高くなってきます。そこを今検討しているところです。国内生産だと、やっぱり質が保たれているので、安心して使えますから。実際、製品化すると不良品って100個に1個ぐらいの割合でどうしても出るんですね。それを極力なくしたい。防災バッグですから、万が一の時に不良品が出てしまうのが一番こわい。だからそこは国産にこだわって、質は高めていきたいです」
支援の受付は2月26日まで。詳細は、https://a-port.asahi.com/projects/bosaibaby-bag/。
(小川誠志)
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