先日30日の文教委員会で、文京区奨学資金に関する条例案を審議しました。これまで「貸付け型」奨学金だったものが「給付型」へ、つまり返さなくてよい奨学金への改正案に対して全会派が賛成、7日の本会議で可決され、給付型奨学資金制度がスタートする見込みです。
経済的理由により進学又は修学が困難であること、高等学校等へ入学が確定していること等の要件が備わっている対象者に、以下の奨学金が一人一回かぎり給付されます。
- 国公立高校 入学予定の生徒 6万円
- 私立高校 入学予定の生徒 10万円
喜ばしいことです。
ただ、私は何点か、給付の「その後の支援」の視点から、質疑をしました。
奨学金を給付した子どもたちのその後を調査してほしいこと。 退学や休学等の困難を抱えていないか、入学後の状況を把握して、しっかりと支援をする重要性を指摘しました。
教育委員会の答弁は、「義務教育終了時の出口までを支援する」とのことでしたので、私からは、児童福祉法で児童は18歳までであり、15歳で終わりではなく、自治体として子ども家庭支援センターや様々な部署と連携してサポート体制を作ることを求めました。
また、奨学金の給付を一人一回かぎりではなく、今後、拡充してほしいことも要望しました。
経済的に苦しい貧困家庭に育つ子どもは高校を退学することが多いという実態があるからです。
まずは、退学してしまった後、高校の学びに再チャレンジしたいと願ったときに、経済的な問題であきらめてしまうことがないようにするための支援が重要です。
通信制等の高校に再入学して勉強するには入学金というハードルが再び生じます。 高卒認定試験を受けて高卒と同様の資格を得るための勉強を一人でがんばるにはなかなか困難なケースもあります。
就職するにしても、高校卒業が条件となっているケースも多く、中卒の学歴となると、職に就くこと自体が難しくなります。賃金も高卒より低くなるのが一般的で、就ける職種の選択肢も狭まります。
つまるところ、高校を退学してしまうと、親の世代の貧困を引き継いでいってしまう可能性が高まるからです。
また、「入学支度資金の融資あっせん及び貸付けの条例案」も全会派賛成で改正されることになりました。
が、融資や貸付けの取り消し、貸付けたお金を返還させる条件が入っており、その理由のひとつに、子どもが「高校を退学したとき」が入っています。
高校を退学してしまうケースへの支援という意味では、さらに「退学をしない」という選択を可能にする視点をもって、子ども本人が気軽にできる相談、本人に寄り添った支援の構築も並行して実施する重要性を伝えました。
貧困家庭の子どもは、親からの支援を受けづらいこと、むしろ親から経済的自立を早くから求められたり、逆に親から頼られたり、さらには、読み書き計算など基礎学力的な段階からの支援が必要であったりして、退学に至るケースが多くなると指摘されています。
それだけに、入学支度資金の貸付けを「退学したら返還させる」ということの前に、「退学しないようにするために」は、どのような相談・支援体制を構築するか。「退学しない」選択肢を持てるように支援するのが自治体としての責務だと思います。
ですが、文京区では、15歳までは教育委員会で見るけれど、義務教育が終わったら自分たちではない・・・との認識が強く、まだまだ消極的です。現実は、中学校を卒業し、高校に入学さえすれば全員が自立できるような世の中ではありません。児童福祉法で定義される児童には、高校生の時期の子どももいることに目を向け、退学をしなくてすむよう、義務教育終了後から18歳までの教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援の仕組みづくりが必要ではないでしょうか。
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平成二十九年十一月文京区議会定例議会議案 http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0142/3072/291120_gian.pdf
24号、25号の議案がこの記事で取り上げた議案です。 「一人一回」の記述は4ページ 「退学したときは」の記述は11ページにあります。