ドイツ人銀行家への贈賄罪で起訴されているF1のバーニー・エクレストンCEOに新たな贈賄疑惑が浮かび上がった。
7日、贈賄罪をめぐる裁判でロンドンの高等法院に出廷したエクレストンは、相手側の弁護士による尋問の過程で、1998年のコンコルド協定への署名を確実にするため、ジョーダングランプリの代表(当時)を務めていたエディー・ジョーダン、アラン・プロスト、トム・ウォーケンショー(アロウズチームのオーナー。故人)の個人口座に約9億9000万円を支払ったことを認めた。コンコルド協定とは、F1選手権の運営や利益の分配について主催者の国際自動車連盟(FIA)と各チーム、エクレストン率いるF1運営組織FOAの3者間で取り決めたルールのことで、更新には全チームの署名が必要とされる。
現在、エクレストンは現在、F1の商業権を管理するCVCが2006年にF1株を取得する際、株を売却したバイエルン州立銀行の元役員に賄賂を贈り、F1株の価値を過小評価するよう工作した疑いで起訴されている。この売却からコミッションを得る契約をしていたドイツのメディア会社コンスタンティン・メディエンはCVCとエクレストンを相手取り、約99億円以上の損害賠償を請求している。
英紙『テレグラフ』によると、弁護人に「(1998年のコンコルド協定に)チームが署名するよう支払ったものですね?」と問われ、エクレストンは「はい」と答えたが、「これは貴方(弁護士)が言うような賄賂にはあたりません」と反論。相手が公職者でなければ賄賂にはならないとする独自の法解釈を法廷で披露する結果となった。
今さら15年前の贈収賄事件が明るみに出たことで、ジョーダンやプロストに火の粉が及ぶことはないだろう。しかし、エクレストンは法的書類のサインをめぐる買収工作を認めただけに、今後の法廷で不利な立場に追い込まれそうだ。
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(こちらは2013年11月11日のAutoblogの記事「98年にプロストなどに約10億円! F1界のドンが"賄賂"を認める」を転載したものです)