いま、もっとも注目をされている若手クリエイターのひとり、グッドパッチのプロダクトマネージャー、日比谷すみれさん。じつはノート、ルーズリーフ、Evernote、手帳を駆使し、インプットの達人だった!?多くの情報が洪水のように溢れ、刷新される今こそ必見。若きトップクリエイターたちの仕事術を公開!
注目すべき20代のクリエイターたちの仕事術に迫る!
多彩な能力を発揮し、これからの時代を築く20代のWebクリエイターたち。彼ら、彼女らの仕事術に迫る新企画がスタートします。
今回フォーカスしたのは、グッドパッチで働く日比谷すみれさん。彼女はUIデザイナーとしてキャリアをスタートし、プロダクトマネージャーに挑戦中とのこと。26歳という若さで新規事業を牽引する存在として活躍しています。
グッドパッチのデザインプロセス(※)
もともと、クライアントワーク事業のUIデザイナー兼プロジェクトマネージャーとして経験を積んでいた日比谷さん。どうして、今回、自社プロダクト事業のプロダクトマネージャーに名乗りを上げたのでしょうか?
たまたま新規プロダクトのプロダクトマネージャーを探しているという話があり、『これはチャンスだ』と思いました。というのも、“デザイナー”という職種に縛られず、より根本から事業にコミットし、成果を出す挑戦をしたかったんです。
同時に、社内でチームを作ることができるのも魅力でした。クライアント先でそのチームのメンバーとして迎え入れていただくと、案件が終わるのが寂しくて寂しくて(笑) やっぱり長期的に自分のチームを作っていきたいなと思っていました。学生時代に関わったサンフランシスコのbtrax、peroli創業期のアシスタント、新卒で入社したナイル株式会社(当時はヴォラーレ株式会社)、そして弊社の土屋をはじめ、いつも起業家の近くにおりチームを作っていく姿を間近で見ていたことも影響しているのかもしれませんね。
UI/UX領域の先端をいくグッドパッチ。プロダクトマネージャーは海外事例・トレンドにアンテナを張るだけでなく、ビジネスについても深い理解が求められます。
そういった環境で、新規プロダクトの責任者を任されている日比谷さん。どのように情報を収集し、精度の高いアウトプットにつなげているのでしょうか?
数年前に比べて何倍、何十倍と「情報量」が増加しているといわれる現代。彼女の洗練された仕事術には、第一線で活躍するための秘密が隠されていました。
(※)グッドパッチのデザインプロセス…《グッドパッチ》はクライアントワーク事業での数々の実績から培ったノウハウを生かし、独自のデザインプロセスを確立してきた。そのデザインプロセスをサポートするツールを開発しているのが自社プロダクト事業だ。デザインプロセスの中で発生する課題を解決するために、いままでプロトタイピングツール「Prott」、フィードバックツール「Balto」が誕生。そして現在、新たにプロダクトマネジメントツールを開発中で、日比谷さんはそのプロダクトマネージャーを担当している。
本は必ず1時間で読み切り、ノートにまとめる!
パソコンと一緒に持ち歩いても重くなく、わりと雑に扱えるモレスキンのノートを使用
― ネットにせよ書籍にせよ、情報が溢れかえっている今、仕事に必要なインプットや先端情報の収集も難易度が上がっていると思うんです。そこで日比谷さんのインプット術に迫れればと本日伺いました
「インプット術」というほどのものではないですが・・・(笑)いくつか私なりにこだわってやっていることがあります。
たとえば、本は1時間で1冊を読み切り、ノート見開き1ページに収まるように要点をまとめたり、図解していて。読みながら、分らないところや重要だと思うところには付箋を貼り、後からさらに詳しく読んだり、調べたりして理解を深めるようにしています。
メモを取るので、絶対机がないと本が読めないというデメリットはあるんですけど、ノートにアウトプットしながら読むというこのやり方が一番頭に入るんですよね。
― やり方を確立されているんですね。どうやって身につけていったんですか?
高校受験のときですかね。数学がすごく苦手だったんですけど、間違えたときに、ただ間違えた、で終わるのではなく「なぜ間違えたのか」と「どうすればいいか」といったポイントをまとめるようにしたんです。その直後から、いっきに成績が上がって。私にあったインプット方法とは、インプットと同時に自分なりに解釈をアウトプットすることだと気付いたんです。それから大学に入ってからもずっと書き込みが命なのでノート派ですね。
「アナログ」を活用した日比谷すみれ流インプット
― 他につかっている仕事道具でいうと?
アナログなところだと、じつは本のインプット用に使っているノートとは別に、一時的な物事の整理のためにルーズリーフも使用しています。複数のプロジェクトが並行して動くため、ルーズリーフがベストだなと。
チームメンバーとミーティングをしながら、UXのフローを図示化したり、ゴールをクリアにしたり、情報・課題の整理に使います。
なにがゴールで、そのためにしなきゃいけないことはなにかを常に可視化し、コミュニケーションの拠り所にしていくイメージです。タスクが突然増えた時や、議論がごちゃごちゃして「今何の目的を追っているんだっけ」というのを再確認したい時とかにすごく役立ちますね。
― ホワイトボードのようなカタチで使っているんですね。ちなみに、スケジュールやタスクの管理はスマホ派ですか?手帳派ですか?
スケジュールとタスク管理はスマホを使っています。ただ、中長期的な目標管理のために手帳も持っていて。手帳にはたくさんメモをしています。自分の人生でのやりたいことを書き出したり、感銘を受けた言葉を書き残したり。仕事に対するスタンスや考え方の参考にしていて、よく見返しています。
IFTTT連携で、効率よく、知りたい情報はすべてストック
― ここまでアナログな道具がメインでしたが、デジタルなところだと?
そうですね。Twitterとか活用しているかな・・・あ、自分のつぶやきだと、たまにラーメンのこととか呟いているのであまり見ないでください(笑)
― ちょっと話が逸れちゃいますが、ラーメンお好きなんですね。それも二郎系!意外でした。
よく行きます(笑)ラーメンを食べると、疲れが取れるんですよね。ラーメンの中でも二郎系ラーメンがすごく好きで。食べ切った感というか、達成感があっていいなと。
― ラーメンにもチャレンジ精神があるというか…(笑) 日比谷さんのストイックなパーソナリティに迫れた気がします。話は戻るのですが、インプットにTwitterを活用するというと?
そうですね。Twitterのリストを活用しています。興味関心のある分野ごとにリストを作って、毎日必ず目を通すようにしていて。気になるツイートや紹介されている記事はPocketに保存しています。
他にも、RSSとIFTTTの連携で、自分の知りたいキーワードにマッチするタグがついている記事を全て自動的にPocketに飛ばすようにしていて。
私が寝ている間にも、Pocketに保存してくれるので、特に海外事例を集めたいときにとてもおすすめです。
Pocketに保存した情報は、平日の空き時間に読むんですけど、読みきらなかった分も土日に必ず目を通してすべて消化するようにしています。
― 海外の事例ですが、どこから仕入れることが多いですか?
メディアだとアメリカのTech CrunchやProduct Huntはチェックしています。
弊社のプロダクトは全てSaaSのビジネスモデルで、圧倒的に海外の事例のほうが多いんです。特にアメリカでも話題のSaaSを提供する企業のクリエイターやVCが発信する記事は欠かさず読むようにしています。
あとは、Y CombinatorのメディアでThe Macroというのがあるんですが、このメディアの記事は全部おもしろいです。
インプットで満足しない。必ずアウトプットもセットで
― とても洗練されたインプット術ですね。ただ、膨大な情報の中から、自分の知りたい情報を集めるのって難しいような…。
たしかに、なんでもかんでも情報を入れようとすると大変かもしれません。なので、自分の中で「今なにを知りたいのか」テーマを持つようにしていて。そうすることで、無駄な情報をそぎ落とすことができるんです。
たとえば、今は「SaaSの全体像」であったり、「SaaSビジネスにおけるグロースポイント」であったり、ある程度知りたいところを絞っていますね。
それにマッチしそうなものを、15分で1本読むと決めて、読んだら要約をする。それをQiitaで社内に共有するところまでワンセットにしています。
― なんと・・・。さらっとおっしゃっていますが、情報に目を通すだけでなく、まとめて社内共有するのはパワーが掛かって続かない気もします。
アウトプットしないと忘れちゃうんですよね…。全体像、グロース、数値計測、PMフィットみたいなものをした上で、記事の主張と内容をまとめて共有しています。同時に、記事を読んで「あ、違うな」と思ったらすぐに消して、次にいく。
― 要約に時間をかけず、サクサクやっていくのがポイントなんですね。
ついつい時間をかけたくなってしまうんですが、そこまでパワーをかけないようには気をつけています。
日経新聞も電子版で欠かさず読むのですが、気になるキーワードが含まれる記事はPocketに投げて、週末にEvernoteにカテゴリーを分けて保存します。Evernoteのインプット用ノートブックは「デザイン・プログラミング系」、「マーケティング」「経営」「Saas」「その他生活」と整理していて。
いま、お話しながら思ったのですが、アナログなツールでも、デジタルの手法でも、「なにか調べたいものが出てきたときに、自分のストックしたライブラリーからいつでも検索できるようにしたい」というのもあるかもしれませんね。
「会社の成長を牽引したい」日比谷すみれの原動力
― さきほど、土日にもインプットをしているとおっしゃっていたのですが、プライベートと仕事の切り替えはしてないんですか?
もちろん休みは友だちとランチにいったりは普通にしますよ(笑) でも、「切り分ける」という感覚はないかもしれません。
幸いにも、今、自分がやりたいことと、会社で課せられているミッションがかなりイコールなんです。
同時に、常に自己成長していかないと、私の将来はない…みたいな危機感はあります。デザイナーから、プロダクトマネージャーにジョブチェンジをしているので、実績もまだまだこれからつくっていかなきゃいけない。もちろん弊社のビジョンの実現とビジネス上の成功も成し遂げたい。そのためにはこのままではいられない、がんばらなきゃ、という気持ちがありますね。
― その高い成長意欲はどこからくるのでしょうか?
スタートアップ界隈の友達、エネルギー溢れる活動からパワーをもらうことが多くて。少し前も、プロダクトマネージャーにジョブチェンジするのを迷ったタイミングに、peroliの創業者の2人と、当時手伝いをしていた仲間の1人とご飯に行く機会があって。MERYの成長を加速させる新たな事業を展開し続けるチャレンジの話を聞き、負けてられないなぁと刺激をもらいました。
― 「与えられたことをやる」という仕事のスタンスとは全く違いそうですね。
なんていうか、私にとって仕事は、ひとりじゃ届けられないような大きな価値を届けていく。そのためのひとつの機会だと考えています。
車のタイヤもそうですよね。片方のタイヤだけじゃ走れないし、エンジンも、ハンドルも、ミラーも必要で。それらがひとつになることでより遠くまで走ることができる。プロフェッショナルさを持ち合わせた人とチームで働くなかで、会社の成長を、私自身が牽引していく存在でありたいなと思っています。
― こだわりや創意工夫が張り巡らされたインプット術から、日比谷さんの課題と向き合う視点の高さ、そして自身と会社の成長にこだわる熱量をひしひしと感じました。本日はありがとうございました!
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