シドニーから3大会連続で五輪に出場した元陸上選手と、一緒に考え、議論を深めます。議論は週刊誌AERAの連載で紹介します。いただいたコメントを抜粋・要約することもありますがご了承ください。
交渉ごとで難しいのは、必ず合意しなければいけない状況だと思います。例えば「Q社との契約は必ず締結してこい」と命令されたサラリーマンは、Q社のどんな要求も飲まなければなりません。合意形成が絶対である交渉ほど辛いことはないでしょう。
いま、スポーツ界で合意形成に関する問題が起きています。日本バスケットボール協会が国際連盟(FIBA)から、男子のナショナルリーグ(NBL)とTKbjリーグの統合を迫られている問題です。団体同士の統合は、その団体のあり方に加え、所属するチームや選手の将来も左右する大きな問題です。今回は内容をフィクションとしてアレンジし、合意形成時の考え方に絞って、皆さんの考えを伺いたく思います。
あなたはいま、とあるスポーツ団体「A」の代表として、交渉の場にあります。昨年、国際連盟から通達があり、今年中に同じ協議の団体「B」と合併しなければオリンピックには出場させないと言われました。困ったことにAとBは、同じ競技ながら全く違う理念を持っています。BはAにこう要求してきました。
「私たちはオリンピックに出なくても構わない。でも、あなたたちは出たい。合意することは構わないが、その場合、A団体の選手は4年間、新団体には加盟させない」
そんなことは暴論だ、絶対飲めない、と突き返しましたが、B団体は断固譲りません。国際連盟に「合意した」と報告するまでの期限は、あと3日。条件を飲めば、A団体の選手は次のオリンピックに出場できませんが、合意しないと日本選手そのものがオリンピックに出場できなくなる。A団体に所属する選手は、オリンピックを目指し、毎日厳しいトレーニングを積んでいます。彼らに「次のオリンピックは諦めてくれ」とは、辛くてとても言い出せない。あなたは、とても難しい決断を迫られています。
ここで、皆さんのご意見を伺いたいと思います。Bの条件も変えられず、国際連盟の期限も延ばせない。その条件のもとで、あなたはどうしますか。Bの要求を飲んで合意するか、それとも要求を蹴って合意しないか。どちらを選ぶでしょうか。
私自身も悩みましたが、片方の立場をとることにしました。が、いまここで私の意見を書くと偏りを生みかねないので、アエラ本誌の方に書きたいと思います。皆さんのご意見、どうぞお聞かせください。
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