買い物をする前に考えたい。「MADE IN JAPAN」の正体

ちゃんとした定義って何だろう?
EIJI

日本でつくられたことを意味する「MADE IN JAPAN」という言葉には、どこか良質なものというイメージがあります。日々使う電化製品や日用品、身の回りのモノ。

同じような商品が並んでいたら、ほかの国で作られたものより、正直なところ私も「JAPAN」の方に手を伸ばしてしまいます。それはもちろん、「この商品は"MADE IN JAPAN"だから良質に違いない」と考えてのことです。

しかし、この前、ふと思いました。「MADE IN JAPAN」のちゃんとした定義って何だろう?と。

一般社団法人 日本アパレル・ファッション産業協会の原産国表示マニュアルによると、洋服における「原産国」は、原則として縫製をどこで行ったかで決まるそうです。「MADE IN JAPAN」と表記されていても、最初から最後まで、100%すべての工程において、日本国内で作られているとは限らないことになります。

極端なことをいえば、海外の工場で紡績や染色、生地を作るなどの工程を行い、日本国内で縫製すれば「MADE IN JAPAN」のタグを付けることができてしまうということになります。(一部の衣料品は、「MADE IN JAPAN」のために編立を日本国内で行う必要があります)

しかしこの定義は、消費者が期待する「MADE IN JAPAN」とちょっと違うような、違和感を覚えました。私としては、身近にその定義が浸透しているとも思えませんでした。洋服や商品に付けられた「MADE IN JAPAN」というタグ。こんな風に探っていくと、「何とも曖昧なものだなぁ」という印象を持ちました。

■紡績から縫製まで 大阪でつくるTシャツ

私がこのテーマについて考えるきっかけになったのは、広報として関わっているクラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」で、Tシャツ専門ブランド「EIJI(エイジ)」が資金調達を始めたからです。

「EIJI」を生産するのは、大正15年の創業以来、大阪で肌着やTシャツなどを作り続けてきた三恵メリヤスという会社です。流行の服を海外工場などで生産して、コストをおさえるファストファッションが拡大する中、ある意味「時代とは違う方向」をいく会社です。

三恵メリヤスは「良質」への強いこだわりを持っています。アルティメイトピマという希少なオーガニックコットンを原産地であるアメリカから輸入し、綿などの繊維を、服をつくるための長い糸にする「紡績」の段階から、最終的に生地を縫い合わせる「縫製」まで、すべて日本で行っている同社からは「MADE IN JAPAN」への強いこだわりを感じます。

三恵メリヤスの三木 健さんは、「消費者が思う"MADE IN JAPAN"と、生産者が実際に提供する"MADE IN JAPAN"はイメージにズレが生じている」と指摘します。同社は、実際に消費者がイメージするような、「大半の工程を日本でおこなっている」という「MADE IN JAPAN」像に近い企業にみえます。

「EIJI」はベビー用のTシャツも生産しており「本当にいいものだからこそ、大人になってからではなく、まだ経験の少ない子どもの肌に覚えてほしい」と、まさに本物を知る英才教育と言っていいほど「良質」への熱意をこのTシャツに込めています。

■改めて「MADE IN JAPAN」って何だろう?

私自身、「MADE IN JAPAN」の定義を理解して驚きましたが、三木さんと知り合ったあとは、服を買う際に、その背景にある生産過程がどのようなものなのか想像するようになりました(とは言いつつ、個人的にデザインが気に入れば買ってしまうのですが...笑)。

改めて、「MADE IN JAPAN」に期待する「良質」とは何でしょうか?「MADE IN JAPAN」の定義を知る前と後では、その印象が、少なからず変化した方もいらっしゃるのではないでしょうか。

日本のサービスやモノは海外でも大きなブランド力があります。2013年にユネスコの無形文化遺産に「和食」が登録されましたが、こちらも「定義」が難しい。例えば、日本の食卓の定番であるカレーライスは、もともとはインドで親しまれてきた食べ物ではありますが、「日本食」といっても良いぐらい独自の発展をしています。

「MADE IN JAPAN」に求める価値について考えてみると、明日からの買い物がちょっと違った感じになるかもしれません。

※Makuake『最高級の素材にファクトリーの技術の粋を集めたTシャツ「EIJI(エイジ)」』

8月30日(水)までプロジェクト実施中 https://www.makuake.com/project/eiji1926/

EIJI

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