母乳育児とオリンピックの板挟みになったカナダの選手、乳児連れ参加が許可される

「スポーツに携わる女性にとって正しい決定であり、女性が前に進むことができると思います」と喜びを語っています
2016年のリオオリンピックに、カナダ代表で出場したキム・ゴーシェ選手(2016年8月8日)
2016年のリオオリンピックに、カナダ代表で出場したキム・ゴーシェ選手(2016年8月8日)
Shannon Stapleton via Reuters

「東京オリンピックに、母乳育児中の赤ちゃんを連れていくことを認めて欲しい」と訴えていた、カナダ・バスケットボール代表チームのキム・ゴーシェ選手。

要望が認められて、生後3カ月のソフィーさんを連れての参加が可能になった。

IOC(国際オリンピック委員会)は6月30日、母乳育児中のアスリートが子連れで東京オリンピックに参加することを認めると発表した

アスリートと親業の板挟みに

ゴーシェ選手は2021年3月に出産し、現在母乳での子育て中だ。

これまでロンドンオリンピックとリオデジャネイロオリンピックに出場し、東京オリンピックを目指して競技を続けてきた。

しかし新型コロナウイルスの影響で大会への家族帯同が禁止されたため、親業とアスリートの板挟みになっていた。

ゴーシェ選手は6月23日、Instagramに投稿した動画で 「現在、私は母乳育児中の母親とオリンピックアスリートのどちらかを選ばねばならなくなっています。両方を選ぶことができないのです」と訴えていた。

CBCによると、 IOCは「選手の家族帯同は非常に難しい」という見解を示す一方で「調整は各国のオリンピック委員会の責任」と述べていた。

そしてカナダオリンピック委員会とカナダバスケットボール代表チームが、東京2020組織委員会に対し、ゴーシェ選手の子どもと配偶者の帯同許可を求める要望書を提出していた。

東京2020組織委員会が今回、乳児帯同を許可したことについて、IOCは「オリンピックを含むレベルの高い大会で、多くの母親たちが競技を続けられることを歓迎します」「母乳育児中の母親と子どもたちが入国できるようにするため、東京2020組織委員会が特別な解決策を見出したことを嬉しく思う」と声明で述べている。

ゴーシェ選手もInstagramで、IOCやカナダオリンピック委員会、カナダバスケットボールチームや東京2020組織委員会など、決定に関わった人たちに感謝を伝えた。

また「失望する時もありますが、女性のスポーツは進化していると思います。すべての人にわかってもらうのに時間がかかることがありますが、今回の決定はとても嬉しいです。スポーツに関わる女性にとって正しい決定であり、女性が前に進むことができると思います」と述べている。

東京2020組織委員会は今回の決定について、次のようにコメントした。

「東京大会はコロナ禍での大会ということもあり、アスリートの家族等同伴者の参加は断念せざるを得ないこととしてきましたが、特に幼いお子様を同伴してのアスリートの大会参加については、現下の状況でどのような対応が可能か議論を進めてきたところです」

「今般、参加アスリートが幼い子供を同伴させる必要がある場合には、必要な措置を講じ来日いただけるようにいたします」

「子どもを持つ多くの女性アスリートがオリンピックを含む高いレベルでの競技を続行していることは素晴らしいことであり、そのようなアスリートの活躍を東京2020大会としても支援したいと思っております」

なお、子どもを含めてアスリート以外は選手村へのアクセスが制限され、居住棟まで入ることはできないという。

ゴーシェ選手以外にも母乳育児中の子どもの帯同を求めるアスリートはいる。

AP通信によると、2020年5月に出産したアメリカ・サッカー代表のアレックス・モーガン選手も子どもを帯同すると考えられている。

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