アメリカで2月13日(現地時間)に開催されたNFLスーパーボウル・ハーフタイムショーで、ラッパーのエミネムが片ひざをついた。
これは、人種差別と黒人に対する警察の暴力に抗議するために、NFLのコリン・キャパニック選手が始めた行為だ。
エミネムは、ドクター・ドレーやスヌープ・ドッグ、ケンドリック・ラマー、メアリー・J. ブライジらとハーフタイムショーに出演。
自身の楽曲『Lose Yourself』のパフォーマンスの最後で片ひざをつき、頭を垂れた。
スーパーボウルに先立ち「NFLがエミネムに片ひざをつくのを禁じた」とする報道があった。
しかしNFLの代表は13日、「選手たちは2016年から、制裁を受けることなく片ひざをついています。音楽の才能のある人たちが、異なる基準に縛られることはない」とニューヨークポストに述べ、報道を否定した。
NFLは「制裁を受けることなく」としているが、NFLはキャパニック選手が抗議活動を始めた当初、片ひざをつく行為を認めなかった。
キャパニック氏が、初めて国家演奏中に片ひざをついたのは2016年。この抗議は公民権運動に火をつけ、他のアスリートもキャパニック氏に続いた。
しかしNFLは2018年に、選手やチームスタッフが試合での国歌演奏中に座ったり片ひざをついたりするのを禁止する規則を導入。
フィールド上にいる選手に起立を義務付け、抗議活動をする選手はロッカールームにとどまるよう求めた。
この規則について、NFLコミッショナーのロジャー・グッデル氏は「フィールド上での抗議活動は、何千人ものNFLの選手が愛国的でないという間違った印象を多くの人たちに抱かせる」と説明した。
当時大統領だったドナルド・トランプ氏もNFLの決定を支持し、規則に従わない選手に制裁金を課すべきだと述べた。
2020年にようやく間違いを認める
人種差別に抗議する選手たちを支持してこなかったNFLが、自身の間違いを認めたのは、それから2年経った2020年だ。
ジョージ・フロイドさんやブレオナ・テイラーさんらが警察に殺害され、ブラック・ライブズ・マター運動が広がった後だった。
この時、グッデル氏は声明で「私たちNFLは、NFL選手たちの言葉に耳を傾けなかったことが間違っていたと認めます」と、リーグのこれまでの姿勢を謝罪。
選手たちの抗議を支持し「私たちはブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)を信じています」と述べた。
しかし、NFLはこれまで何度も黒人選手に対する不当な扱いや人種差別的な採用プロセスなどをめぐって批判されており、2022年2月には、元マイアミ・ドルフィンズのヘッドコーチ、ブライアン・フローレス氏が、人種差別的な雇用慣習などで、NFLと3つのチームをに対する訴訟を起こした。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。