ディズニー・ワールドの自治権剥奪を、フロリダ州知事が検討。議会に終了を呼びかける

「ゲイと言ってはいけない法」を批判されたフロリダ州知事が、ディズニーの自治権の終了を議会に呼びかけています

アメリカ・フロリダ州のロン・デサンティス州知事(共和党)は、自らが署名した法案を批判したディズニーに、報復を考えているようだ。

知事は4月19日、オーランドにあるディズニー・ワールドで55年続いてきた、特別自治権の終了を検討するよう、州議会議員たちに呼びかけた。

ディズニー・ワールドのセレモニー(2022年3月6日)
ディズニー・ワールドのセレモニー(2022年3月6日)
Arturo Holmes via Getty Images

ディズニーに与えられてきた特別な自治権

ディズニーは、1967年に成立した州法「リーディ・クリーク・インプルーブメント・アクト」によって、ディズニー・ワールドを“独立した特別地区”として管理できる権限を与えられた。

これにより、ディズニー・ワールドは多くの州規則の適用や、一部税金の支払いが免除されてきた。テーマパーク内には、独自の送電網まで整備されている。

しかしデサンティス知事は19日、1968年11月5日以前に成立した独立特別地区の撤廃を、議会に呼びかけた。その中には「リーディ・クリーク・インプルーブメント・アクト」も含まれている。

すでに、撤廃検討のための特別立法会議が、19日から最長22日まで予定されている。

批判したディズニーへの報復か

特別地区の撤廃は、ディズニーに対する報復だと見られている。

デサンティス知事は、ディズニーが通称「ゲイと言ってはいけない法案」への反対を表明して以来、同社を攻撃してきた。

この法案は、幼稚園から小学3年生までの間、公立校で性的指向や性自認についての議論を規制する内容で、違反した場合は親たちが学校を訴えられる。

法案は全米で物議を醸したものの、デサンティス州知事は3月28日に署名した。

ディズニー・ワールドで「トランスの権利は人権だ」というサインを掲げる従業員(2022年3月22日)O
ディズニー・ワールドで「トランスの権利は人権だ」というサインを掲げる従業員(2022年3月22日)O
Octavio Jones via Getty Images

ディズニーのボブ・チャペックCEOは、初めはこの法案に中立の立場を取っていたが、従業員やLGBTQ活動家らからの批判を受けて謝罪

法案への反対を表明し、フロリダ州への政治献金を止めると発表した。

ディズニーは、知事が法案に署名した3月28日にも批判のコメントを発表し、「会社として私たちのゴールは、この法律の議会での廃止、もしくは裁判での撤廃です。そのための活動を続けている連邦や州の団体への支持を続けます」と、反対し続ける立場を強調した。

ディズニーはフロリダ州最大の民間雇用主で、州議会にも大きな影響力を持っている。しかし、共和党と対立したことで、同州での特別な立場が危険にさらされる可能性が出てきた。

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。

注目記事