2019年09月17日 19時25分 JST | 更新 2019年09月24日 14時49分 JST

テクノロジーと共創で加速する「未来の暮らしかた」仕事とプライベートの革命を目指した定額制リモートオフィスLAC

植物由来の肉や球状のみそ汁……。テクノロジーが食の世界にもたらす革命を体験するワークショップが福島県磐梯町「LivingAnywhere Commons(LAC)」で開催。多様な人々が集い、共創が生まれる。

テクノロジーが食の世界に革命を起こしている。人工知能が絶品の新メニューを生み出したり、3Dプリンターでチキンナゲットを作ったり。植物由来の肉だってある。

テクノロジーによって、食の豊かさはどこまで広がるのか──。

そんなテーマのワークショップが福島県磐梯町で開かれた。参加者たちは、首都圏などで働くビジネスパーソンで、会社員からフリーランスまで様々だ。

julie fukuhara
男女20人が参加した「未来の食」イベント。福島県磐梯町にあるLivingAnywhere Commons会津磐梯にて開催

主催したのは、月額で利用できる宿泊機能付きサテライトオフィス「LivingAnywhere Commons」(LAC)を運営し、日本各地に広めようとしているLIFULLだ。

LACは、事務局や利用者自らが企画したワークショップやイベントを開催している。

今回のテーマは「未来の食」。

テクノロジーの進歩で食の未来はどう変わるのか。

そして利用者や地域の人々との共創によって何が生まれるのか。参加者たちはそんなことを考えながら取り組んだ。 

新たな食品として注目され始めた植物性の肉

「食感が鶏のひき肉のよう」「大豆独特の臭みがない」。

磐梯山の麓にあるサテライトオフィスLAC会津磐梯で、アメリカの国民的料理「チリコンカン」を試食した参加者たちが驚きの声を上げる。

julie fukuhara
代替肉で作ったチリコンカン

鶏肉の代わりに植物性肉(フェイクミート)が使われていたからだ。

植物性の肉はコレステロールがゼロ。脂質が少ない一方、たんぱく質は豊富だ。肉っぽいのに乾燥保存でき、調理するときは水で戻す──。

なんとも近未来的だ。 

julie fukuhara
水で戻した植物由来の代替肉

「植物ベースのため、動物性肉に比べて、生産時の穀物量や水資源の消費量が圧倒的に少ない。環境面でもそのメリットは大きい」。

ワークショップで講師を務める、植物性食品の開発会社「SEE THE SUN」の金丸美樹氏はそう胸を張る。

julie fukuhara
金丸美樹氏 株式会社SEE THE SUN 代表取締役社長。1998年に森永製菓株式会社に入社し、商品開発やマーケティングなどを経て、2017年にコーポレートベンチャーとして同社を立ち上げる
julie fukuhara
LivingAnywhere Commons会津磐梯は、猪苗代駅(福島県)から車で10分程度の緑豊かな場所にある

フードテックで広がる未来の食

「分子料理法」という新しい調理法も紹介された。

新たな食感と味わいを見つけるため、科学の力を使って食べ物や調理に「革命」を起こそうとする手法で、世界一予約が取れないと言われたスペインのレストラン「エル・ブリ」が世界に広めたという。

福島を拠点に、テクノロジーを使い先進的なプロジェクトを多数手がけるIT企業「Eyes, JAPAN」の山寺純社長らが、液体を球体にする特殊な調理法などを紹介した。

julie fukuhara
株式会社Eyes, JAPAN 代表取締役社長 山寺純氏。会津大学初のスタートアップ企業として「魔法と区別がつかない優れた技術を創造する」をビジョンに同社を創業。テクノロジーを用い、様々な分野の研究開発を行なっている

参加者は、みそ汁でその手法を試した。

四苦八苦しながらも、温かいみそ汁を球体にできると、参加者たちからは歓声が上がった。

julie fukuhara
球体のみそ汁を温めるために鍋に入れる

新鮮な体験に刺激を受けた参加者たちは、「未来の食のアイデア」をテーマにメンバーごとにディスカッション、次々とユニークなアイデアを思いつく。

「美味しいは過去の記憶から生まれているのではないか」「VRで人の味覚はどう変化するのだろう」……。

julie fukuhara
ディスカッションする参加者たち

LACで今回、こうした食のワークショップを開いたのには、理由がある。

どこでも暮らせるようになったとき、もしかするとスーパーやコンビニが身近なものではないかもしれない。その場合、私たちの「食」はどうなっていくのか。流通インフラに依存しなくても食を豊かにできないか。

住まいのインフラがオフグリット化した時に直面するかもしれない「食」の問題について、多様な人々が集まるLACで参加者同士によってテクノロジーの活用をしながら、新しいアイデアを生み、共創のアクションにつながることを体感してもらいたかったからだ。

LACはワークスペースと居住スペースを兼ね備えたユニークな施設。

都会のオフィスと自宅を満員電車に乗って行き来する生活から、働く人たちを「解放」することを目指して、LIFULLが始めたサービスだ。

快適な環境にするためには、インターネットも含めたインフラを整備する必要がある。

julie fukuhara
木を基調にした空間で心地良いBGMが流れながら仕事をする姿も

それに欠かせないのがテクノロジーであり、将来的にはあらゆる生活に必要なものを自給自足できる「オフグリッド」化の実現を想定している。

「LACは人々が場所にとらわれずに暮らすことができる近未来型の取り組み」。そう語るのは、ワークショップの企画を担当した山寺氏だ。

テクノロジーがいかに人々の生活を変化させるか。

そんなLACの理念を、参加者たちはワークショップを通して実感したことだろう。

今後も定期的に、LACでは参加メンバーの自発的な発想でユニークなワークショップを企画していくという。

テクノロジーの進歩で暮らしの自由度は高まっている。その最前線であるLACでの暮らしをぜひ体験して欲しい。

◇     ◇     ◇

「LivingAnywhere Commons(LAC)」とは月額2万5000円でサテライトオフィスと宿泊施設を利用できる定額制(サブスクリプション)のサービス。

不動産情報サービスなどを展開する「LIFULL」が今年7月に開始、会津磐梯のほか、静岡県の伊豆下田でオープンした。

2023年までに100拠点を目指しているといい、登録者は空きがあれば全国どこの施設でも利用できる。個人、法人いずれも利用可能だ。会社員、フリーランス、地域に暮らす人々、多様な人材が入り混じり共創が生まれる。