「火星の地表で虹の撮影に成功か」と、アメリカ航空宇宙局(NASA)が公開した写真が世界中で話題になっている。その意外な正体が明らかになった。
火星探査車「パーサビアランス」は2月に火星のジェゼロクレーターに着陸して、探査を続けている。搭載していた小型ヘリコプター「インジェニュイティ」の切り離しに成功した。
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この小型ヘリの切り離した翌日の4月4日、「パーサビアランス」に取り付けられた危険防止カメラが撮影した写真のうち数枚に、虹のようなものが写っていた。空も地表も真っ黄色の中で、地平線から弧を描くように大きな虹が出ているように見える。
地球に比べると非常に薄い大気しかないはずの火星で虹が出現したのだろうか。NASAの公式見解はなかったが、世界中のSNSで話題となり「雲の中の氷の結晶に反射した結果だ」「大気中のチリが原因だ」などと推測する声が相次いでいた。
しかし、気象の専門家であるマーシャル・シェパード博士がForbesに記事を寄稿したことで真相が明らかになった。
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シェパード博士の取材に、NASAの太陽系探査計画を指揮するデイブ・ラベリー氏は「絶対に虹ではない。カメラレンズの内部反射だ」という見解を示したという。「探査車はヘリコプターのほぼ真北にあるため、これらの写真が撮影されたのは火星の現地時間午後2時。カメラはほぼ真っ直ぐ南を向いている」とラベリー氏は指摘した。これらの条件は、カメラ内部で反射光が生じやすいという。
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