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2020年04月06日 17時24分 JST

オンライン授業、何が大変? 1カ月以上続けている上海の親子「マイクとプロジェクターを買うべき」

「これは非常に大切なことです」と中学生の子を持つお母さんが教えてくれたこととは。

オンライン授業が日本でも注目されている。

新型コロナウイルスの感染拡大のため休校措置が続いていたが、自治体によっては再開の判断をするところも出てきた。一方で、熊本市の小中学校や全国一部の大学のように、オンライン授業の導入を決めるケースもある。

このオンライン授業にずっと取り組んできたのが中国だ。実際に体験して見えた課題や、そこから見えた教訓とは。上海市に住む親子が、ビデオ会議システムを通じて取材に応じた。

■中国のオンライン教育事情

中国でオンライン授業の方針が正式に打ち出されたのは1月29日。「停課不停学」=「授業は止めても学びは止めない」とのスローガンとともに、オンラインで学習を継続させることが決まった。

中国政府がオンラインで教材を提供したほか、児童や生徒たちはビデオ通話で「登校」することとなった。

これに目ざとく反応したのが中国でビデオ会議システムを提供している企業だ。 アリババ傘下の「釘釘(ディントーク)」は教育向けにサービスを無償で解放することを発表。子どもたちからすると、正月休みが続くかと思ったら授業が再開されることとなり、「釘釘」はアプリストアで「星1」評価を連打されるという洗礼を受けた。

釘釘だけでなく、別のIT企業も教育向けにビデオ会議システムを提供することを発表。群雄割拠の状態を呈している。

■上海市の親子は

「一体いつになれば学校に通えるようになるか分かりません」と話すのは上海市に住む中学1年生の董千鐸(とう・せんたく)さん。3月からずっと自宅で授業を受けている。

使用するソフトはIT企業テンセント系のものから、別の中国企業のもの、さらに海外の先生とつなぐ時はZoomを活用するなど4つを使い分ける。

一日に学校外の習い事も含めて7〜8時間は机に向かう董さん。学びの効率自体は「全く問題ありません。オンラインだろうとなかろうと、集中する人はするし、しない人はしません。同級生とおしゃべり出来ないので、授業に集中できます」と笑いつつも、「寂しくもありますね。早く学校に戻りたい」と休校措置の終わりを待ちわびている。

保護者はこの状況をどう受け止めているのか。

母親の肖迎(しょう・げい)さんは財務関係の仕事を担当している。会社はリモートワークか出勤かを選べるようになった。

肖迎さん

「息子が一日中、家にいる状態も特に気になりません。(学習効率も)問題はないと思います。今年高校受験があったとしても、影響はそんなにないと感じています」と話す。

しかし、息子が学ぶ様子を見て不便に感じる点もあるという。董さんのクラスは30人ほどだが、ビデオをオンにできるのは同時に6人程度が限界。あとは音声のみのモードにしているという。

「それ以上の人数がビデオを開くと、途端にカクカクしてしまう。先生は生徒を指名して、その都度ビデオ画面を開かせ、様子を見るしかありません。学校での授業なら先生はいつも学生が集中しているかチェックできます。少人数の授業なら問題ないのでしょうが...」 

今後、日本でも多くの家庭がオンライン授業を体験する可能性がある。肖さんにアドバイスを求めたところ、健康面に関しての提案があった。

「単独のマイクとプロジェクターを買うべきではないでしょうか。子供に一日中ノートパソコンの画面を見せないことが大事です」

肖さんの家庭では、壁をスクリーンがわりにして画面を投影できる設備を整えている。息子の董さんは、机から2メートル以上離れて画面を見ることができる。

肖迎さん提供
遠隔授業と同じスタイルで取材にこたえる董千鐸さん(壁に映っているのは筆者)

「液晶画面は、それ自体が発光体です。これを見続けたら、目に与えるダメージは深刻ではないでしょうか。これは非常に大切なことですよ」

新型コロナウイルスをきっかけに、日本でも導入が進みそうなオンライン授業。子どもの健康を守りながら授業を受けてもらうには、家庭でも“設備投資”が必要になるかもしれない。