サッカー女子ワールドカップ、LGBTQの選手数が過去最高に。前回大会から倍以上の増加

2023年のFIFAサッカー・女子ワールドカップでは、LGBTQ当事者の選手が大幅に増加します
(左から)ブラジルのマルタ選手とアメリカのミーガン・ラピノー選手
(左から)ブラジルのマルタ選手とアメリカのミーガン・ラピノー選手
Getty

2023年7月に始まるFIFAサッカー・女子ワールドカップに参加するLGBTQ当事者の選手数が、過去最高になるとみられている。

アウトスポーツによると、前回2019年大会は40人だったが、2023年大会はその倍以上の87人が出場する。

そのほとんどが北米や南米、ヨーロッパ、オーストラリアとニュージーランドの選手で、参加チームの3分の2以上にLGBTQの選手が所属している。

この中には今大会が最後のワールドカップだと宣言しているアメリカのミーガン・ラピノー選手やブラジルのマルタ選手も含まれる。

また、8つのチームにLGBTQ当事者のキャプテン、2つのチームにコーチがいるという。

87人には公にカミングアウトしていない選手は含まれないため、実際の数はさらに多いと考えられる。

一方、アウトスポーツによると、2018の男子サッカー・ワールドカップで、LGBTQ当事者であることを公表した選手はいなかった。

同メディアの創設者サイド・ジーグラー氏は、違いの要因の一つは、高いレベルでサッカーをしている女性の性的マイノリティーの数が、同じようにプレーしている男性の性的マイノリティーの数よりも単純に多いためだとNBCのインタビューで話している。

「これはバスケットボール、アイスホッケー、そしてほとんどの他のスポーツにも当てはまります。WNBA(全米女子バスケットボール)では、25%以上の選手が公にカミングアウトしています。公表している選手が多いことが、より多くの女性がカミングアウトしやすい環境を作り出しています」

批判されたロシアとカタールでの開催

LGBTQ当事者にとってスポーツをしやすい環境を作るためには、協会やチームからのサポートが欠かせない。

ガーディアンの2019年の記事によると、多くのLGBTQのアスリートは、チームやスポンサー、リーグからの拒絶や不当な扱いを恐れてカミングアウトできない。

それにも関わらず、FIFAはLGBTQを差別や抑圧する法律のある国でワールドカップを開催して、ファンやアスリートらから批判されてきた。

2018年男子大会の開催地ロシアは、同性愛についての発信を規制する法律があった。また、2022年大会のカタールでは同性愛は違法で、禁固刑に処せられる危険もあった。

ゲイを公表しているアメリカ・プロサッカーのロビー・ロジャーズ選手は、ロシアとカタールでの開催決定について「行動が言葉よりも雄弁であるのなら、FIFAが同性愛者のアスリートに向けたメッセージは悲痛なほど明確です。彼らは私たちをサポートしていないだけでなく、我々の命には価値がないとしました」と、2015年にUSAトゥデイの寄稿でつづった。

「ワールドカップへの出場を望む同性愛者のアメリカ代表にとって、性的指向をオープンにすれば逮捕される恐れのある国に足を踏み入れるということになります」

開催場所に加え、FIFAは2022年のカタール大会でレインボーの腕章の着用を禁じたことも批判された。

一方、FIFAはLGBTQをサポートする取り組みの一環として、2023年の女子大会ではレインボーの腕章の着用を許可すると発表した。

ニューヨーク・タイムズによると、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は3月、カタールでの腕章禁止について「私たちはみんな学んできた」と述べた。

「今回、我々はキャプテンや連盟、選手、FIFAなど関係者全員との対話を模索し、異なる感受性を捉え、他の人を傷つけることなく、誰かの立場や価値観、感情をポジティブ方法で表現するために何ができるかを考えます」

オーストラリアとニュージーランドで開催される2023年のサッカー・女子ワールドカップは、7月20日に始まる。

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

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