タンパク質中の秩序立った構造を持たない領域が、高い親和性で起こるタンパク質–タンパク質相互作用に関係していることは、次第に明らかになってきている。
だが、相互作用によってタンパク質複合体がひとたび形成されてしまえば、少なくとも一方のタンパク質は安定な折りたたみ構造をとることが知られている。
今回B Schulerたちは、互いに独立した複数の生物物理学的手法を組み合わせて使い、ヒストンH1とその核内シャペロンであるプロサイモシンαという2つのタンパク質の間にピコモルレベルの非常に高い親和性で形成される複合体では、2つのタンパク質の無秩序状態が、互いに結合し合った後にも完全に維持されていることを実証している。
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この高親和性の結合は、非常に多くの電荷を持つ伸びたポリペプチド鎖に沿って、多数の動的で非特異的な静電相互作用が生じることによっている。
ヒトも含めた真核生物のシグナル伝達分子には、このような構造上の特徴が広く存在している。
Nature555, 7694
:10.1038/nature25762
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