エリザベス女王の暗殺計画をFBIが把握していた。その内容が明らかに

エリザベス女王の1983年のアメリカ訪問時に暗殺計画があったことが、公開されたFBI文書からわかりました

イギリスの故エリザベス女王が1983年にアメリカを訪問した際に、FBIが暗殺計画の情報を把握していたことが明らかになった。

FBIの情報公開ライブラリー「The Vault」に5月22日に掲載された文書によると、サンフランシスコの警察官が1983年2月4日に、暗殺計画の情報をFBIに共有した。

エリザベス女王とレーガン大統領
エリザベス女王とレーガン大統領
Anwar Hussein via Getty Images

この時、約1カ月後にエリザベス女王と夫のフィリップ殿下の訪米が予定されていた。

文書によると、この警察官のもとに、行きつけのアイリッシュパブで知り合ったという人物から「北アイルランドで、娘がゴム弾で殺された」と「エリザベス女王に危害を加える」という電話がかかってきた。

この人物はその方法として「王室のヨットがゴールデン・ゲート・ブリッジの下を通過する時に、上から何かを投げ落とす」もしくは「エリザベス女王がヨセミテ国立公園を訪れた際に殺す」と主張したという。

文書には、FBIがこの情報をシークレットサービスと共有し「ヨットが近づく時に、ゴールデン・ゲート・ブリッジの歩道を閉鎖する予定」と書かれている。

ヨセミテ国立公園を訪れたエリザベス城
ヨセミテ国立公園を訪れたエリザベス城
Anwar Hussein via Getty Images

FBIが警戒したIRAによる攻撃

NBCによると、102ページにわたるこの文書は、2022年にエリザベス女王が亡くなったことを受け、複数の米メディアによる情報公開請求で明らかになった。

文書には1983年だけではなく、古いものでは1976年のエリザベス女王の訪米に関連した情報や旅程のほか、新聞の切り向きも掲載されている。

文書から垣間見えるのが、エリザベス女王の訪米中にFBIが、英領北アイルランドの英国からの分離を求める武装組織「アイルランド共和軍(IRA)」やその支持者を警戒していたことだ。

北アイルランドでは、1960年代にアイルランドとの南北統一を求める少数派のカトリックと、イギリスへの帰属維持を求める多数派のプロテスタントの対立が激化。

1998年に和平合意を締結するまで、過激派によるテロや、イギリス軍による弾圧などの暴力が続いた。

エリザベス女王の親戚であるマウントバッテン卿が、IRAがヨットに仕掛けた爆弾で1979年に殺害されていることを考えれば、FBIの警戒も理解できる。

文書から実際に暗殺計画が遂行されたかどうかはわからないが、エリザベス女王は1983年の訪米を無事に終えている。

ロサンゼルス・タイムズによると、エリザベス女王はこの時にカリフォルニア州サンディエゴから始まり、ロサンゼルスやサンタバーバラ、サンフランシスコ、サクラメント、ヨセミテ、シアトルなどを訪れた。

その途中で、当時の大統領ロナルド・レーガンのほか、歌手のフランク・シナトラやディオンヌ・ワーウィックらと会っている

エリザベス女王のジョークを笑うレーガン大統領
エリザベス女王のジョークを笑うレーガン大統領
Bettmann via Getty Images

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