皇室行事に使われたアオウミガメの甲羅。絶滅危惧種なのにどうやって入手? 宮内庁に聞いた。

大嘗祭の儀式には、火であぶるための亀の甲羅が必要だった。

皇位継承に伴い、2019年11月に皇室行事として大嘗祭(だいじょうさい)が行われる。天皇陛下が、神々に米を供え、五穀豊穣と国の安寧を祈られる。

この中で、必要な米を育てる地方を決める「斎田点定(さいでんてんてい)の儀」が5月13日に行われ、栃木県と京都府が選ばれた。

これらの地方は、「亀卜(きぼく)」と呼ばれる亀の甲羅を火であぶる占いで決められる。しかし、この甲羅の確保の裏側には宮内庁の努力があった。

アオウミガメ(資料)
アオウミガメ(資料)
時事通信社

■絶滅危惧種の甲羅が欲しい

宮内庁によると、今回使用されたのはアオウミガメの甲羅。だが、アオウミガメを含む全てのウミガメは、国際的な商取引を制限するワシントン条約の対象になっている。国内でも環境省のレッドリストで「絶滅の危機が増大している」とされる絶滅危惧II類に分類されている。

調達に向けた検討が始まったのは2017年末ごろ。甲羅を確保しようと市場調査を進めるうちに、べっ甲製品を作る会社が、東京都の小笠原村に住む漁業者から甲羅を調達していたことが分かった。

小笠原村ではウミガメの保護や増殖に取り組んでいるが、東京都知事の許可を得てアオウミガメの漁も実施していたのだ。

宮内庁は村と協議を進め、2018年秋に甲羅8枚を購入。買ったのは背甲と呼ばれる甲羅部分のみで、価格については公開されていない。

そして13日に行われた「斎田点定の儀」。儀式では将棋の駒の形に薄く削った甲羅を用いた占いによって、静岡・長野・新潟を含む18都道府県の「悠紀(ゆき)の地方」から栃木県、残りの29府県の「主基(すき)の地方」から京都府が選ばれた。

甲羅を火であぶり、ヒビの模様から判断するが、具体的にどのように決めるかは公開されていない。今後は、具体的にどこに「斎田」を設けるか自治体と協議するという

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