サウナで「1万7000人死亡」「白内障リスク4倍」⇒誤り。まとめサイトの投稿がXで拡散

「年1万7000人が死亡」「白内障リスクあるから」。サウナを巡り、まとめサイトが誤った投稿を複数しています。【ファクトチェック】
GYRO PHOTOGRAPHY/a.collectionRF via Getty Images

「サウナ」に関して、X(旧Twitter)上で複数の誤った情報が拡散している。

いずれも、まとめサイト「ツイッター速報〜BreakingNews」が投稿したものだが、引用元の新聞社やテレビの記事に書いてある内容と異なる見出しをつけている。

ハフポスト日本版は、ファクトチェックした。

サウナで年1万7000人が死亡→誤り

「サウナで心臓停止が相次ぐ、交通事故死の3倍、年間1万7000人が死亡」

こちらは8月14日の投稿で、17日午前6時現在、5000リポスト、1.4万「いいね」と拡散している。

この引用元として、読売新聞が8月11日に発信した「夏のサウナ安全に『ととのう』」という記事を添付しているが、記事には「サウナで年1万7000人が死亡」という記述はない。

1万7000人という数字が登場するのは、急激な温度変化で失神したり、心臓が止まったりする「ヒートショック」への注意を呼びかける部分で、次のように記載してあった。

「ヒートショックは脱衣場と浴槽の温度差が大きい冬に起きやすい。2011年には交通事故による死者(約4700人)の3倍超の約1万7000人が亡くなったとする研究もある」

つまり、サウナで心臓停止した人が1万7000人いるのではなく、ヒートショックで亡くなった人が約1万7000人いるという研究もある、ということだ。

しかも、これは2011年の数字で最新ではない。

ツイッター速報〜BreakingNewsの「サウナで年間1万7000人が死亡した」と読める投稿は誤りとなる。

一方、読売新聞の記事では、郡山地方広域消防組合の管内で2013〜22年、サウナ利用中に倒れて救急搬送された人が101人いたことが書いてある。

動脈硬化症や高血圧症、心臓病の人、飲酒後はサウナに入ることを避けたほうがいいといい、記事に登場する専門家は、「サウナが危険ということではなく、危険な入り方があるということ。安全な方法でサウナを楽しんでほしい」と呼びかけている。

ツイッター速報〜BreakingNewsの投稿
ツイッター速報〜BreakingNewsの投稿
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サウナで白内障リスク4倍→誤り

次は、7月31日に投稿された「サウナで整う言ってる馬⚪︎。白内障になるから。水晶体のタンパク質が熱で変性。熱中症白内障リスク4倍」というもの。

8月17日午前6時現在、1058リポスト、3759「いいね」と広まっており、引用元として、テレビ朝日が7月28日に配信した「40℃迫る猛暑日200地点超え 熱中症で白内障リスク約4倍」という記事を添付している。

しかし、そもそもサウナという文字は、テレビ朝日の記事中に一つも出てこない。

記事では、約260万人の診察データからわかったこととして、専門家の次のような話を紹介している。

「熱中症にかかった後、白内障を発症した人の割合を調査した結果、熱中症にかかったことがない人と比べて、5年後に白内障を発症する確率が4倍近くに高まることがわかった」

つまり、テレビ朝日の記事は、熱中症にかかった人はかかったことがない人と比べ、5年後に白内障を発症する確率が4倍近くに高まる、という専門家の話を紹介したものとなっている。

ツイッター速報〜BreakingNewsの、「サウナで白内障になるリスクが4倍になる」と読めるような投稿は誤りだ。

テレビ朝日の記事は、熱中症への警戒を呼びかける内容となっている。

なお、白内障は目の水晶体がにごる病気で、暑さと目に降り注ぐ強烈な日差しによって引き起こされるとみられる、と記載されていた。

ツイッター速報〜BreakingNewsの投稿
ツイッター速報〜BreakingNewsの投稿
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◼️ファクトチェック記事のレーティングについて

ハフポスト日本版では、NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。

また、これまでハフポスト日本版が実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。

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