アートとカルチャー
2019年08月29日 19時22分 JST | 更新 2019年08月30日 12時15分 JST

タランティーノ最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を観る前に知りたいシャロン・テート事件とは?

シャロン・テート事件のことを知っておくと、映画が100倍楽しめます。

シャロン・テートの写真と、テートを演じたマーゴット・ロビー

クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が8月30日(金)に公開される。

タランティーノ監督9作目となる同作の題材は、50年前にアメリカを震撼させた「シャロン・テート殺害事件」だ。カルト集団「マンソン・ファミリー」によって引き起こされたこの事件は、ハリウッド史上最大の悲劇とも言われている。

映画を愛するタランティーノ監督が事件をどう描くのか、期待が集まる作品だが、事件の内容を知っているとより作品を理解することができる。

シャロン・テート殺害事件とは

事件が起きたのは、ヒッピー文化が全盛期を迎えた1969年8月9日。この日、当時26歳で新進の女優シャロン・テートが、ハリウッドの自宅で友人3人とともに惨殺された。

テートはのちに『戦場のピアニスト』などで知られるロマン・ポランスキー監督の妻で、当時は妊娠8カ月だった。

ポランスキー監督は撮影のためロンドンに滞在中で、妻の訃報を知った監督は、その場にうずくまり大声で泣いたという。

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事件発生直前の1969年6月に撮影されたシャロン・テート。
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「ペチコート作戦」や「哀愁の花びら」に出演し、当時新進中だったテート。
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1968年1月に撮影された、シャロン・テートとロマン・ポランスキーの結婚式の様子。

マンソン・ファミリーとは

犯行に及んだのは、チャールズ・マンソン率いるヒッピーのカルト集団「マンソン・ファミリー」だ。

マンソンは自身を「悪魔」や「キリスト」などと称し、合成麻薬LSDを用いて信者たちを洗脳したという。約20人の信者で形成された「マンソン・ファミリー」は事件当時、西部劇の撮影に使われていたロサンゼルス郊外の牧場で共同生活を送っていた。

朝日新聞(1970年8月4日付の朝刊)によると、マンソンは黒人が白人に対して「暴力革命」を起こすと信じ込んでおり、この革命をビートルズの曲名にちなんで「ヘルター・スケルター」と呼んでいたという。

だが、革命はいつまでたっても起らない。手本を見せて革命を挑発しようと、みずから大量、無差別の殺人を計画した。仲間には「ヘルター・スケルター」は今だと、そそのかした。現場には黒人の犯行とみせかけるため、「ヘルター・スケルター」「ピッグ(警官の蔑称)」などの血文字を書き残させた。

(1970年8月4日付の朝日新聞朝刊より)

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マンソン・ファミリーを率いたチャールズ・マンソン。

マンソンは、スーザン・アトキンスやパトリシア・クレンウィンケルなど信者4人に命令し、シャロン・テート邸宅の襲撃を指示。

翌日にはスーパーマーケット・チェーンの経営者レノ・ラビアンカ夫妻もファミリーに殺害され、計7人が犠牲になった。

マンソンは1971年に死刑判決を受けたが、カリフォルニア州で一時死刑が廃止されたことから終身刑に。2017年11月19日、同州の病院において83歳で病死した。 

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マンソン・ファミリーが共同生活を送ったスパーン映画牧場

ハリウッドの悲劇 タランティーノはどう描くのか

マンソン・ファミリーによる残虐な事件は全米を震撼させ、事件を起点にヒッピー文化は衰退していった。

さらに1969年は、反体制的なアウトローを主人公とした「アメリカン・ニューシネマ」が台頭し、ハリウッドが変革を迎えた時代でもあった。

タランティーノ監督は当時の時代背景について、「この時代はカウンターカルチャーが変化し、ハリウッドという街や業界も変化していた時期。シャロン・テートの事件に至るまでの時間軸で物語を描くことで、この時代を歴史的に掘り下げられておもしろいのでないかと思った」話している

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』では、テート役をマーゴット・ロビーが演じている。作中にはポランスキー監督はもちろん、テートが武術指導を受けていたことから、ブルース・リーも登場する。

一方、主人公のリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)とスタントマンのクリフ・ブース(ブラッド・ピット)はオリジナルの登場人物だ。フィクションの人物が実際に起きた事件と「遭遇」するまでの出来事が、タランティーノ監督の視点で生き生きと描かれている。

ディカプリオは、「この映画は、この業界、ハリウッドという場への祝福のような作品だと思っているんです」と振り返った。タランティーノ監督がハリウッドに捧げた意欲作を、ぜひ劇場で目撃してほしい。

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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』