タレントがファンと社会問題を真剣に語る時代だ。 藤原しおりさんのインスタライブから考える

「SDGsって幅広すぎる」「若者で一括りにされるのは何だか嫌です」。フォロワーのコメントや疑問に藤原しおりさんはどう答えた?
インスタライブを配信する藤原しおりさん
インスタライブを配信する藤原しおりさん
Jun Tsuboike / Huffpost Japan

「芸人が社会問題や政治に軽々しく意見するべきじゃない」「タレントのくせに意識高すぎ」――。

芸能人が社会的な発言をすると、ネットではそうした意見が飛び交います。

しかし、本当にみんながそう思っているのでしょうか。

自分の好きなタレントやアーティストと一緒に、社会や政治の問題を話し合いたいと思っている人だって、たくさんいるのではないでしょうか。

そんなことを感じさせる1人のタレントがいます。

藤原しおりさん。「35億」のネタで大ブレイクした「ブルゾンちえみ」を春に卒業し、今は本名で活動をしています。

藤原さんは、ハフポスト日本版が国連と一緒に配信したライブ番組「世界平和のために、私は何ができる?」(6月28日配信)に出演。EXIT兼近大樹さん、国連広報センターの根本かおる所長と一緒にSDGsや貧困、ジェンダーの問題を話し合いました。番組終了後には、個人のインスタライブで「番組で話し足りなかったこと」をアフタートークとして配信しました

「今はSNSで芸能人とファンが簡単に繋がれる時代。せっかくだから思いっきり近付くことで、届かなかった悩みが届いたり、すごく新しいアプローチが生まれたりするかも…」。6月のハフポストのインタビューでそう語った藤原さん。

アーカイブも含め17万以上視聴されたアフタートークでは、社会問題を自分の言葉で懸命に伝えようとする藤原さんと、その問いかけに真剣に応えるファンの姿がありました。その会話の一部を紹介します。

※順番や言い回しなどを一部編集しています。

「若者だって本当は色々考えているんだけどね」

ライブ番組「世界平和のために、私は何ができる?」に出演した藤原しおりさん
ライブ番組「世界平和のために、私は何ができる?」に出演した藤原しおりさん
Jun Tsuboike / Huffpost Japan

(藤原さん)日曜の昼なのにTwitterでは多くの方が番組を生で観て下さっていたみたいです。すごいですよね。ありがとうございます。Twitterでもコメントを頂いていたんですが、番組中に拾えなかったので、そんなコメントなどを拾いながら進めていこうと思います。

(視聴者)芸人さんが真面目な話するの好きです

(藤原さん)そうですね。芸人さんって言っても、やっぱり根はすごく真面目な人たちだから、番組ではなかなか話す機会がないだけで、みんなすごく真面目に考えているんですよね。ありがとうございます。

(視聴者)若者で一括りにされるのは何だか嫌です

(藤原さん)「チャラくて軽い若者=何も考えていない」と見られてしまうけど、(EXIT兼近さんのように)本当は若者だって色々考えているんだけどね。「若者は…」とか、どうしても言われちゃいますね。「若者は選挙に行かない」とかね。かねちー(兼近さん)を通して、若者もちゃんと考えているんですよってことが伝わったらすごくいいなって思います。

ダイエットも環境問題も「腹八分目」から始めてみる

インスタライブを配信する藤原しおりさん
インスタライブを配信する藤原しおりさん
Jun Tsuboike / Huffpost Japan

(視聴者)環境問題に関して、個人ですぐできることはありますか?

(藤原さん)私も「こんなちっちゃなことで何が変わるんだ」って思うこと、実は沢山あります。だからみんなも「私1人がビニール袋1枚要りませんって言ったところで、地球の環境が守れるんですか?」って思ってしまうと思うんですけど…。

でも本当にこればかりは「チリも積もれば…」だと思うんです。影響力のある1人が行動した方が早いだろうって思うんですけど、意外とそうではなくて。それより、ちっちゃい頑張りがいっぱい集まった方が断然影響力があるんです。それはめちゃめちゃ実感しています。

ダイエットでもそうですけど、一気に断食から始めてしまうとすぐに挫折しちゃう。でも「今日から腹八分にします」みたいなことから始めてみると、数ヶ月後には大きな痩せになっていたりするんですよ。最初は「こんなことでほんまに痩せるんかいな」って思うんですけど。

同じように環境問題においても、無理な目標を立てなくていいんじゃないでしょうか。「電気はほぼ全部使いません」とか「今からターザンみたいな生活します」とか、無理じゃないですか?今の私たちにはそういう暮らしはなかなか難しい。だから、できる人から、できることから始めましょう。

(視聴者)ゴミを小さくたたむようにしてる。ゴミのかさが変わるだけでも違う

(藤原さん)なるほどね。その入れ物も資源だからね。スペースを節約するっていうこともコツコツだよね。

SDGs、興味のある1項目から考えてみよう

持続可能な開発目標(SDGs)
持続可能な開発目標(SDGs)
© UNIC

国連サミットで採択された、2030年までに国際社会が達成すべき17のゴールである「持続可能な開発目標(SDGs)」についてもファンからコメントが寄せられました。

(視聴者)SDGsって幅広くて壮大すぎて、正直身近に実感しにくい印象

(藤原さん)確かに、本当にそうなんですよ。ざっくりしていますよね。

一方で、ざっくりとしか言えないってところもあるんですよね。ピンポイントに言っちゃうと「それ以外は考えてないのか?」みたいになっちゃうから、できるだけ「ぶわーっと」、大きくカテゴリー化しないと始まらないというか。いったんはSDGsの17項目で、そこからさらに具体的な目標へと、それぞれが枝分かれさせていくことが大事なんだと、私は思っています。

(視聴者)SDGsの17項目をもう一度しっかりと考えたいと思いました

(藤原さん)17項目もあって大変だと思うんですけど、まずは自分が興味ある項目1つからでも全然いいですからね。私も自分の興味があるところから調べてますから。

1人が全部の問題に携わるのってめっちゃ難しいと思うんですね。人によって関心があることや頑張れるジャンルは違うと思うので、「私は食べ物については頑張れる」とか「服のことなら興味あります」って分担して、みんなでちょっとずつやっていくのが大事だと思います。人ってしんどかったらやめちゃうから。無理のない範囲でやっていきましょう。

「私はこういう意見を持っています」と発言してみることが一歩になる

インスタライブの後半では、国連創設75周年に合わせて国連が実施しているUN75「1分間アンケート」について、国連広報センターの根本かおる所長を招いて対談もしました。
インスタライブの後半では、国連創設75周年に合わせて国連が実施しているUN75「1分間アンケート」について、国連広報センターの根本かおる所長を招いて対談もしました。
Jun Tsuboike / Huffpost Japan

番組の中で、藤原さんが何度も強調した「まず知る」ということの大事さ。ファンからは葛藤や悩み、藤原さんへの相談が集まりました。

(視聴者)もっとみんなに世の中の問題を知ってほしいけど、どう伝えたらいいのかわかりません

(藤原さん)そうだよな〜。ただ、フォロワーが何千人もいて影響力があるから誰かに伝わるってことだけじゃないと思います。それは多くの人に見てもらう立場になった私自身も思うこと。

私はお肉を食べないようにしているんですが、黙っていたら誰にも気付かれませんでした。でも、自分がそういう選択をしていることを発言したことで、意外と「実は僕も」とか「知らなかった、もっと早く言ってよ」って連絡してくれる友達がいました。

だから、「私はこういう意見を持っています」ということを身近な人に発言してみることが第一歩になるんだと思います。

みんなが同じ意見になることが世界平和じゃない」

インスタライブを配信する藤原しおりさん
インスタライブを配信する藤原しおりさん
Jun Tsuboike / Huffpost Japan

(視聴者)強制してくるのは好きじゃありません

(藤原さん)もちろん、私もです。「正しいから絶対これやれ」っていうアプローチは、どんなに正しくても嫌なんですよね。そうじゃない人だっているし。だから、みんなが同じ意見になるっていうことが世界平和というわけではないと思います。

A、B、Cっていろんな意見を持つ人たちが「私もあなたも意見は違うけど、ここまでは譲り合いましょうね」って互いにちょっとずつ歩み寄っていけるのが、世界平和に近いのかなって思います。これは理想論かもしれないですけど。

(視聴者)どうして日本では「ヴィーガン」が受け入れられにくいのだと思いますか?

(編集部注:ヴィーガン=動物性食品を食べない人のこと。肉、魚を食べないベジタリアンよりも厳しく、卵や乳製品も食べない)

(藤原さん)ヴィーガンに限らず、「どうせ●●なんでしょ」と決めつけられてしまったり、カテゴライズされてしまうことって多いですよね。一(イチ)聞いただけで、十(ジュウ)理解したつもりで話されがちです。

でも「ヴィーガン」とひとことに言ったって、「皆もヴィーガンになってください」って周囲に広めたい人もいれば、「ヴィーガンですが、人には強制しません」って人だっている。よく知らないのに「こうだろう」と決めつけてしまうのは、私はあまり好きではありません。

日本は島国ということもあって「みんな同じなのが正解」みたいな文化がありますよね。少数派や、新しかったり珍しかったりするものには「えっ?」ってなりがち。

これからもっとグローバル化して、多様な人たちが社会に入ってくると思います。だから、私たちももう少し「色々な人がいて、色々な考え方がある」っていうことに馴染んでいけたらいいなと思います。

「皆がこうだからこうしなさい」は納得いかない

ライブ番組「世界平和のために、私は何ができる?」に出演した藤原しおりさん
ライブ番組「世界平和のために、私は何ができる?」に出演した藤原しおりさん
Jun Tsuboike / Huffpost japan
(視聴者)日本はみんな同じじゃないと生きにくいですよね

(藤原さん)そうですよね。でも私は子どもの頃から「皆がこうだからこうしなさい」って言われるのがすごく嫌いだったんですね。真っ当な理由があるんだったら納得できるけど「皆がそうだから」というのは理由になってないから。結構頑固者でしたよ、私は(笑)

考えてみてください。(「皆がするから私もしなきゃいけない」という)その理論でいくと「じゃあ、あなたは皆がウンチ食べたらウンチ食べるんですか」ってなるでしょ?

私は食べないよ(笑)「それを食べるのは違う」って自分の中で思っていたら、絶対食べない。

すごく極端な話をしましたけど、でもそういうことじゃないですか?どんなに「みんながやってるでしょ?正しいでしょ?」って言われても、私の中でそれは間違っていると思ったら貫きたいです。わかりやすいでしょ?(笑)

(視聴者)その国で生きるのであれば、郷に入ったら郷に従うべきだと思ってしまいます

(藤原さん)ルールやモラルに反していたり、誰かにすごく迷惑のかけたりすることじゃないのであれば、(自分の意思やこだわりを)「貫くこと」は別に問題ないと、私は思うんです。ただ、貫くことで人に迷惑をかけたりするのであれば、ちょっとは馴染んだりとか、譲歩することは必要だとは思います。そういう意味での「郷に従え」ってことならば、時には必要なのかもしれないですね。

普段慣れ親しんだ道をちょっと外れてみる

ライブ番組「世界平和のために、私は何ができる?」では #私は知ることから始めます で意見や質問を募集しました。
ライブ番組「世界平和のために、私は何ができる?」では #私は知ることから始めます で意見や質問を募集しました。
Jun Tsuboike / Huffpost Japan

(視聴者)知ることは時間もエネルギーも必要だから、面倒臭いと思ってしまう人がいるのも仕方ないかもなぁ

(藤原さん)そう。めちゃめちゃエネルギーがいる。今はスクロールすればいろんな情報が流れてくる時代だから、受け身でいることの方が楽なんですけどね。でも、受け身でいると、偏っちゃうんですよね。

だから、わざとちょっと外れてみようとするのが大切かもしれません。例えば、普段は国内ニュースばかり見ているんだったら、ちょっと海外のニュースをタップしてみたりね。

「(日本が悪くて)海外が良い」という意味ではなくて、海外の意見や方法を聞くことで「そういう方法もあるのね」と知るきっかけになったり、比べる基準になったりするかもしれません。

そういう風に、普段慣れ親しんだ道をちょっと外れてみると、新しい情報が入ってくるかもしれませんね。

▶︎アフタートークのアーカイブ動画はハフポストLIVEのYouTubeチャンネルでも観られます。URL:https://youtu.be/lozoOGw9-Pk

ライブ番組での「『世界平和』のために、私は何ができる?」という質問に関して、藤原さんは「私はA、あなたはB、あの人はC。どんな意見も知ることから」と答えました。
ライブ番組での「『世界平和』のために、私は何ができる?」という質問に関して、藤原さんは「私はA、あなたはB、あの人はC。どんな意見も知ることから」と答えました。
Jun Tsuboike / Huffpost Japan

ライブ番組「世界平和のために、私は何ができる?」では、世界で起きていることについて、まずは「知る」こと、そしてどんな形でもいいから、自分なりの方法でアクションすることの大事さについて話し合いました。番組の中でも話題に上がった、国連が実施しているUN75「1分間アンケート」。ぜひ、一つのアクションとして回答してみてください。


▼アンケートはこちら
https://un75.online/?lang=jpn


▼国連創設75周年(UN75)特設ページはこちら
https://www.unic.or.jp/activities/international_observances/un75/

なんとなく受け入れてきた日常の中のできごと。本当はモヤモヤ、イライラしている…ということはありませんか?「お盆にパートナーの実家に帰る?帰らない?」「満員電車に乗ってまで出社する必要って?」「東京に住み続ける意味あるのかな?」今日の小さな気づきから、新しい明日が生まれるはず。日頃思っていたことを「#Rethinkしよう」で声に出してみませんか。

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