香港で「人間の鎖」、携帯の灯りで作った “光の道" で自由への連帯を示す

旧ソ連からの独立を求めた「バルトの道」から30年の節目にちなみ、香港のデモ隊が掲げる「5つの要求」を平和的に訴えるためにSNSで呼びかけられました。
香港の「人間の鎖」=2019年8月23日
香港の「人間の鎖」=2019年8月23日
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逃亡犯条例をめぐるデモが続く香港で8月23日、大勢の市民が手を繋いで「人間の鎖」を作った。主催者によると13万人以上が参加したという。警察との衝突や中国側との印象合戦が世界中から注目されていたが、改めて香港人の連帯と意思を平和的に示したかたちだ。

「人間の鎖」とは、デモに参加した人が手をつなぎ、一本の鎖のように連なることで、大きな一つの意思を示すもの。

30年前の1989年8月23日には、旧ソビエト連邦の支配下にあったバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の市民が独立を求めて「人間の鎖」を作った。200万人が、3カ国約600キロにわたって手をつなぎ、「バルトの道」と呼ばれる「鎖」を作った。

今回は「バルトの道」から30年の節目にちなみ、香港のデモ隊が掲げる「5つの要求」を平和的に訴えるためにSNSで呼びかけられた。

「私たちは、自由と民主主義、そして香港のより良い未来のために手をつなぎます。あなたはも参加しませんか?」

香港は23日午後7時に、九龍半島、香港島、新界の3カ所で「人間の鎖」をスタート。

それぞれ携帯にライトを灯し、約60キロに及ぶ “光の道” を作った。広場にはライトを付けた携帯を持つ人が集まり、香港の夜景と合わせて光の海のような美しい光景が広がった。

香港の「人間の鎖」
香港の「人間の鎖」
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デモ隊のリーダー各の男性は、Twitterに「バルトの道は、連帯と非暴力運動の力を示しました。私たちは、『香港の道』が自由と民主主義を求める私たちの要求を世界に知ってもらえることを願っています。香港人は、30年前にソ連からバルト海が直面していたものに直面しています。この戦いに勝たなければなりません」と投稿。

ミュージカル「レ・ミゼラブル」の6月暴動でパリの学生たちが政府軍と衝突するシーンで印象的に歌われる『民衆の歌』の歌詞も引用した。

戦う者の歌が聴こえるか?

鼓動があのドラムと響き合えば

新たに熱い生命が始まる

明日が来た時、そうさ明日が

<レ・ミゼラブル『民衆の歌』より>

オバマ政権下で副大統領を務めたジョー・バイデン氏はTwitterで「私たちは香港の人々と協力し、米国が世界中の人々にとって希望の光であり続けるようにしなければなりません」と投稿とした。

デモに参加する市民たちが2カ月にわたるデモで香港政府に要求している5項目は次の通り

1. 改正案の完全撤回

2. 警察と政府の、市民活動を「暴動」とする見解の撤回

3. デモ参加者の逮捕、起訴の中止

4. 警察の暴力的制圧の責任追及と外部調査実施

5. 林鄭月娥の辞任と民主的選挙の実現

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